【秀 吟】
さんざめく二足草鞋の受けた賞    酒井 純子
又吉の火花並んでいる本屋      土屋起世子
病む義母もわたしも同じ蝉時雨    山裾かず子
ピンポーン友が三人やって来た    楠見 章子
一人だけで場を盛り上げる技がある      木下 侃大
バスツアー乗っているのがひばりの子 北山 絹子
おしゃべりが止まらず旅の夜が明ける 楠原 富香
諭吉さんどうか我が家で賑わって   松尾 俊介
四季があり神も仏も祭り好き     福島   一雄
五十回忌走り回っている曾孫     次井 義泰
親馬鹿の花が賑わう塾の門      川上 智三
トラックのバックしますと言う主張  北口  豊
花火師の汗に気づかぬ賑やかさ    小川あき子
持ち寄った愚痴で宴会盛り上がる   上村八重子
賑やかな家族で肩が凝りません          福重 美子
寄せ鍋の中で具材の国自慢      福井 菜摘
ごった煮へ混ぜて突いて大家族    上野美枝子
二人三脚賑やかな人と組む      米澤 俶子

 【寸 評】
トラックのバックしますと言う主張  北口  豊
  トラックが「バックします」と連呼しながらバックするのはけたたましいが、注意を促すためですから許容できますね。「賑やかなこと」の意外な着想の佳句ですね。

持ち寄った愚痴で宴会盛り上がる   上村八重子
  持ち寄った愚痴で宴会が盛り上がるという意外な着想と表現です。「愚痴」が肴になるというユーモラスの効いた佳句です。

※11月の兼題は「ゆとり」。11月12日(木)必着。1人3句まで。
〒640・8570ニュース和歌山編集部「和歌山三幸川柳会」係

(ニュース和歌山2015年10月31日号掲載)