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 和歌山の魚にこだわり、客の喜ぶ顔を見ることに力を入れる。和歌浦の旨いもん処「旬海」社長、松林裕次さん(54)は、有田の民宿「松林」でクエと地元魚料理の提供を始めた30年前から、毎朝港で自ら魚を買い付け、さばいてから持ち込む。「素材へのこだわりはお客様への真心」を身上に、きょうも店に立つ。

港で自ら魚 吟味

 有田の箕島漁港と逢井(おうい)漁港で毎朝開かれるセリ。漁獲高日本一の太刀魚をはじめ、タイやブリ、タコなど水揚げされたばかりの魚に目を光らせる。

 「料理は素材がすべて。近海で獲れたばかりの魚は鮮度が違う。逢井の八角網漁だと魚の傷みが少なく、きれいに提供できます。セリに出るのは、自分の目で確かめるため。野菜も可能な限り、生産者から直接買います」

 実家は、有田市初島で釣り客向けの渡船業と民宿を営む。高校卒業後2年間、地元企業で働いた後、家業を手伝うことに。当時、渡船業は冬場の仕事が少なく、売り上げの大半を夏場に頼っていた。

 「冬の仕事がないと持たないと危機感がありました。民宿で料理を出せば冬も営業できると考え、料理の修業をし、クエと地元の魚に特化した料理民宿としてスタートさせました」

生のクエ 家庭へ

 「幻の魚」とも呼ばれた天然のクエをいつでも提供できるよう80匹入る水槽を確保し、家庭で本物の味に親しんでもらうため真空パックした生のクエの配送にいち早く取り組んだ。事業を順調に伸ばした41歳の時、チャレンジ精神が湧き上がり、2003年、和歌山市で旬海を開いた。

 「料理民宿の経験から、お客様が何を望むか分かります。旬海は、有田の魚を中心にしながら、地元密着として子どもからお年寄りまで楽しんでもらおうと、料理の幅を広げました」

 経営理念の第一は「お客様に喜ばれる」こと。その一つが、掃除だ。地域貢献を掲げ、店周辺をきれいにする。

 「意識を高め、従業員と意思統一し、『ここに来ると、どことなく温かいな』と思ってもらえる店をつくりたい」

 来年、太刀魚の配送に乗り出すため、準備中だ。いずれアメリカに進出し、現地に有田の魚を届けたいと描く。

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旨いもん処 旬海…和歌山市和歌浦東2-9-46。11時〜14時半、17時〜22時半。不定休(12月は無休)。☎073・447・3003。

(2016年12月7日号掲載)