初めて食べたフランス料理に受けた衝撃が忘れられない。その感動を多くの人にと2014年、和歌山市北島にビストロブーをオープンしたのが髙橋宣貴さん(30)。「これぞフレンチ」というロッシーニをはじめ、居酒屋顔負けのメニュー数で出迎える。「ここからフランス料理に親しむきっかけをつくる」と強く描く。

肩ひじはらない店

 ガーデンパーク横のビル2階。大きなガラス戸が開け放たれ、軽快な音楽が鳴り響く。ここはカフェ? バー?

 「高級なコースで堅苦しいフランス料理のイメージを変えたい。肩ひじはらず入れるよう、大衆食堂を意味するビストロを店名に付け、制服はTシャツ。初めての人は『店を間違えた』と思うようです」

 夜はコースもあるが、一品メニューを80種類用意する。キッシュや鮮魚のムニエルなど典型的郷土料理に、ハンバーガー、パスタ、ギョーザも。

 「ギョーザにゴルゴンゾーラチーズを入れ、トリュフオイルと塩で仕上げます。これだけメニューが多いフランス料理店は、和歌山だと他にないのでは」

味の衝撃伝えたい

 高校を出て、大阪の調理師学校へ。初日に食べた牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニに感激し、「将来はフランス料理のシェフ」と決めた。和洋中を学び、ホテル2ヵ所で洋食を6年、和歌山市のアメリカンとイタリアンの店を1年ずつ経験し、幅を広げた。

 「フィレ肉は食べたことはありましたが、フォアグラやトリュフ、フォンドボーなど、濃厚で深いフレンチから受けた衝撃を伝えたい」

 高さのある盛り付けが目を引くワンプレートランチ。陶器のパレットに野菜を盛り上げ、カレーに木のスプーンを立てる。白、黄、緑の野菜スティック、赤いソース、メーンディッシュが鮮やかで、見た目から食欲を誘う。

 「和食の天盛りの応用です。盛り付けも食を楽しむ1つで、立体にして美しさを出します。ランチのメーンは洋食店風で、オススメのロッシーニも提供しています」

 メニューの多様さに、「フレンチじゃない」と言われたことがある。悩みもした。

 「このスタイルがフランス料理を余り知らない人の入り口になってほしい。SNSで反応はあり、うちで味を知った人が他の店にも興味を持ってくれるとうれしい」

 フレンチの店を普段使いに──。思いは揺るがない。

BISTRO BUUU…和歌山市北島453、コンプラベルデll2階。午前11時〜午後11時(2時から夜メニューのオーダー可。L.O.9時)。無休。☎073・488・6312。

(ニュース和歌山/2017年7月5日更新)