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 和歌山市立こども科学館(同市寄合町)は、絶滅が危惧(ぐ)される生物に環境省が指定しているカスミサンショウオの飼育に成功し、展示している。同市内で生息地を発見し、卵からかえした。同館の土井浩事務長は「一定の大きさに育ったら生息地に返したい。市内に豊かな自然が残る証拠です」と話している。

 カスミサンショウウオは日本固有の両生類で、生息には美しい水辺と自然林が欠かせない。しかし、近年、道路工事や住宅開発の影響で減少。環境省は、絶滅の危機が増す「絶滅危惧Ⅱ類」に指定している。

 この巨大な生息地を、一昨年2月、同館職員が市内の森林で確認。30〜50の卵が入った卵のう83個を水路で見つけた。一部を持ち帰り、飼育を試みたが、エサが分からず、うまく育てられなかった。昨年は成長に応じてエサを変え、ワラジムシを繁殖させて与える工夫を重ねて飼育に成功した。現在は成長した約5㌢の成体7匹と、今年かえった2〜3㌢の幼体約30匹を育てる。展示するもの以外は、生息地に戻し、保全を進めたい考えだ。

 生後2〜3ヵ月までの幼生はエラで呼吸して水中にすみ、その後、肺と皮膚呼吸となって森で暮らし、産卵で再び水辺に戻る。土井事務長は「この不思議な生態を知ってもらい、自然の大切さを理解してほしい」と望んでいる。

 午前9時〜午後4時半。月曜休館。大人300円、小中学生150円。同館(073・432・0002)。

(ニュース和歌山2016年5月28日号掲載)