岩出の実家で一人暮らす父親が毎朝、近所の池を掃除している。数年前から続けている散歩の際にゴミを拾っており、日に日にきれいになる景色がやりがいだそうだ▼同じ池の隣にある公園を整備し、庭の草引きや農作業などを手伝うボランティア団体「たすかーる岩出」の原田政敏さんを父に紹介したところ、共に活動をするように。散歩で顔を合わせる他の仲間も加わり、1人では難しかった大きなゴミの処理や花壇の整備もできるようになった▼「世界で最も住みやすい街」と言われるアメリカのポートランド市では、リサイクル品の集積拠点や公園の整備を住民が企業と協力して進め、行政はそれをサポートする。住民自治と新しい行政の在り方を示すモデルと言えそうだ▼日本の人口は2050年ごろに1億人を割り込むと予想され、税収の減少で行政サービスは縮小する。たすかーる岩出の活動は、ポートランドのような小さな行政の実現への第一歩。人口減少社会を乗り切る打開策にきっとなり得る。 (林)

(ニュース和歌山/2018年6月2日更新)