クルマで移動していますと、トイレに行きたくなったり、休憩したくなったりすることがありますよね。そんな時に「道の駅」の看板が見えると、つい寄ってみたくなりませんか。

 道の駅の起源は諸説ありますが、1991年秋からの社会実験を経て正式に登録が開始。現在登録されているのは1193駅です。道の駅足るためには、①24時間利用可能な駐車場やトイレがある「休憩機能」、②道路利用者や地域住民のための「情報発信機能」、③地域づくりや産地直売所などの「地域の連携機能」が必須となっています。

 さて、道の駅が一番多い都道府県はどこでしょうか? 正解はもちろん、一番面積が大きい北海道で129駅。2位は岐阜県で56駅。和歌山県は5位で35駅です。しかし、可住地面積(人が住むことができる土地)あたりで計算し直すと、なんと和歌山県が1位。すなわち、和歌山は道の駅大国なのです。

 近年は地方創生の核になる「重点道の駅」の指定も行われ、和歌山県からはくじらの町のゲートウェイ機能を持つ「道の駅・たいじ」や、南海トラフ巨大地震等の広域防災拠点などの機能がある「道の駅・すさみ」が指定初年度に選定されています。また、「道の駅・すさみ」は「防災道の駅」にも指定されています。数だけではなく、その中身も高度化しています。

 道の駅はドライバーのためだけのものではありません。那智勝浦町にある「道の駅・なち」は非常にレアな、鉄道駅舎と併設された道の駅です。本当の鉄道の駅と道の駅が合体しているので、電車の乗客も利用可能です。「道の駅・田辺市龍神ごまさんスカイタワー」では、高野山方面と田辺・本宮方面からのバス同士が横付けされるので簡単に乗り継ぎすることができ、バスの乗客にとっても便利な道の駅です。

 最近では進化も目覚ましく、「震災復興拠点機能」や、高齢者住宅・グループホームと一体となった「住居機能」、地元を走るコミュニティバスの停留所やスーパーを兼ねた「生活支援機能」などを持つところが全国で登場しています。コロナ禍が比較的落ち着いた時に、感染対策をしっかりした上で、道の駅大国である和歌山県内を巡ってみてはいかがでしょうか。

和歌山大学准教授 西川 一弘(第2土曜担当)

(ニュース和歌山/2021年7月10日更新)