一昨年から続く新型コロナウイルスの脅威は収まることなく、和歌山県においては、年頭からのオミクロン株による感染者数が約2ヵ月半で2万人を超え、それ以前、2年間の累計から約4倍増加(表1)、クラスター発生数も91件が158件と1・7倍になりました。

 コロナ禍当初から3月12日までの感染者数は県人口の2・7%、約2万5千人と近畿で一番少なく、人口当たりでは大阪の8・2%と比べ約3分の1です。これは、感染拡大地である大阪への通勤通学者数が滋賀に次いで低いことと、濃厚接触者の素早い割り出し、隔離及び1月中ごろまで実施した全員検査、陽性者の全員入院など、和歌山モデルと呼ばれる取り組みが功を奏したといえます。

 また、県内保健所別の人口に対する感染者率と大阪との通勤通学者率は、和歌山市を除けば、強い関係性がみられます(表2)。

 和歌山市は人口1万人当たりのクラスター発生数が3・2、同市を除く県平均2・3の1・4倍あり、他の保健所より多くなっています。しかし、大阪からの旅行者が33%を占める県内の宿泊施設ではこれまで発生していません。旅行者と施設側が緊張感を持ち、3密防止などのガイドラインを守れば防げます。

 今後も続く恐れのある新型コロナに対し、感染拡大地との人流を最小限にし、その上で、和歌山モデルが継続できる程度に感染者を抑え込む。外出時は対策し、感染症渦中でも安心・安全に出掛けられる日がくるのを願いつつ、筆をおきます。1年間ありがとうございました。

和歌山社会経済研究所研究委員 中西 望(今回が最終回です)

(ニュース和歌山/2022年3月26日更新)