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 競技かるたの世界を描いた少女漫画『ちはやふる』。今年の春には女優の広瀬すずさん主演で映画化されるほど人気を集め、競技かるたを始める子どもたちが全国的に増えています。県かるた協会が週2回、和歌山市内で開く練習会では、小学生から高校生までが真剣な表情で札に向かい、火花を散らします。

 競技かるたは、和歌を百首集めた「小倉百人一首」を使います。上の句が読まれるのを聞き、対戦相手より早く下の句が書かれた札を取る競技です。同協会で指導する室川公宏さんは「ここ5年で高校生以下が増えており、今は会員40人中、高校生以下が30人。兄弟や親子で来てくれる人も多い。集中力や暗記力がつき、必ず勉強にも役立ちます」と語ります。

 まずは下の句、25枚の持ち札を置きます。相手も同様にし、合わせて50枚を並べます。15分間で覚え、いよいよ試合開始。読み手と対戦相手の方を向き、「よろしくお願いします」と礼をするのがマナーです。

 置かれた下の句は50枚ですが、読まれる上の句は100枚あるので、下の句がないときもあります。上の句と下の句を正しく覚えるのが第一歩。相手の札を取ったら、自分の札を相手に渡して置きます。相手より先に、自分の持ち札がなくなれば勝ち。難しそうなルールですが、和歌浦小学校2年の上原みずきちゃんは「保育園の時、お姉ちゃんに付いてきて始めました。札を払うのが気持ちいい」とにっこり。

 「むらさめの…」と上の句が読まれると、すぐに激しく畳を打つ音が部屋中に鳴り渡ります。「む」から始まる句は100句中1つだけ。これを皆覚えているので、すかさず下の句「きりたちのほるあきのいふくれ」を取りに行きます。勢いよく払い、札が遠くに滑り飛ぶこともしばしば。写真で見るよりずっと激しい戦いです。

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 かるたは全国で大会があり、公式戦の成績によって段位が与えられます。また、日本一の男性は名人、女性はクイーンと呼ばれます。3年生から始めた城北小学校6年の室園佐璃乃ちゃんは「自分の暗記力だけが頼りなのがかるたの面白さ。クイーンは無理でもA級まではいきたい」と瞳を輝かせます。

 年齢に関係なく皆で挑戦できるかるた。試しに何首か覚えてみよう。興味を持った人は、県かるた協会のHPを見てください。室川さん(073・478・0866)。

(ニュース和歌山2016年1月27日号掲載)