全国トップクラスの生産量を誇る県産ショウガの魅力を広めようと、つくだ煮や味噌、ジャムなどショウガをふんだんに使った商品を生み出す「紀州甘辛屋」 。中嶋佳代さん(68、写真左)が作り始めたのがきっかけで、一昨年、義理の娘、尚美さん(52)が和歌山市古屋に店舗を構えた。今年2月には主力商品「紀州甘辛物語」が市のチャレンジ新商品に認定された。地域ブランドを目指す2人に〝物語〟を聞かせてもらった。  (文中敬称略)

薬味から主役へ

16032301_amakara──ショウガづくしの商品が並びます。

佳代 つくだ煮、味噌、ジャムの「紀州甘辛物語」シリーズと、シロップ、パウダーの5商品があります。和歌山はショウガの一大産地なのにもかかわらず、みかんや梅に比べて認知度が低く、土産にできる加工品はほとんどありません。薬味以外でショウガをもっと味わえるものをと、自分で作って配っていたら、周りから好評だったのが始まりです。

尚美 義母の味を引き継ぎ、古屋に店を構えました。一つひとつ手作りで、皮をむくと手がポカポカしてくるので驚きます。ショウガには殺菌作用もあり、風邪をひかなくなりました。

──こだわりを教えてください。

佳代 使っているヒネショウガは西庄や名草、小豆島(あずしま)で生産されたもの。その日に採れた新鮮なものを仕入れます。近くのいい食材を生かそうと、つくだ煮のちりめんじゃこは、店からほど近い本脇の「山利」から仕入れ、ジャムには和歌山市で採取した無添加のハチミツを使っています。

尚美 ショウガ入りでなくショウガが主役。つくだ煮は9割、ジャムは半分、味噌は3分の1とたっぷりです。皮の一部はパウダーに、炊き出した際に出たエキスはシロップにと、あますことなく使い切っています。

ほんまもんの味

──どんな楽しみ方がありますか。

尚美 「甘辛物語」は多彩な味わい方ができるので、食べた人それぞれの物語を作ってほしいなとの思いを込めました。味噌はグラタンや焼きなすに塗ったり、ハンバーグや餃子のタネに入れたりと料理にも使え、マヨネーズを合わせると野菜嫌いの子どもも生でパクパク食べてくれます。シロップはお湯や焼酎で割るのもいいし、バニラアイスにかけても。暖かくなったら、炭酸で割ってさわやかな〝ほんまもんのジンジャーエール〟を楽しんでほしいです。

佳代 パウダーは冷や奴やお味噌汁にほんの少しかけるだけで深い味わいになります。私はいつも持ち歩いてますよ。

成長できる商品に

──「甘辛物語」は和歌山市が地域ブランドとして成長が期待できる製品に贈る「チャレンジ新商品」に認定されました。

尚美 卸売りをしておらず、自分たちで商品を広めようと週末はイベントでの試食販売を続けているので励みになります。今週末は26日(土)、27日(日)に岩出市の緑花センターで開かれる岩出花博に出店するので実際に試してほしいですね。一番の人気はつくだ煮。必ず「白いご飯がほしい!」と言ってしまいますよ。

佳代 どんな人にも食べてもらいたくて「甘すぎてもダメ、辛すぎてもダメ」と試作を繰り返した味。和歌山の名物として県外への土産物にしてもらえるよう、もっと磨きをかけたいです。

【紀州甘辛屋】

和歌山市古屋434-2 K&Sプラザ1階
☎ 073・494・6228
10時〜16時
不定休で、3月26㊏、27㊐は休み。

(ニュース和歌山2016年3月23日号掲載)