熊野牛に足赤えび、季節の果実と、四季折々の地元食材を使った日本料理を提供するアバローム紀の国の「割烹六つ葵」。2005年から料理長、今春からホテル全体の調理部長を務める津田忠昭さん(47)は豊富な食材と調味料の組み合わせを探求し、舌の肥えた客をうならせています。テイクアウトの品も幅広く、「お祝い事やちょっとぜい沢したい時に選んでほしいですね」と話しています。

 

〝昔ながら〟を踏襲

──地産地消にこだわっているそうですね。

 「週に2、3回、雑賀崎漁港へ買い付けに行っています。野菜は和歌山市や岩出市の農家から、無農薬のものを仕入れています。これらの食材を、先代の料理長から続く昔ながらの調理法をしっかり守って作っています」

──昔ながらとは?

 「例えば、鮎を煮込む時は2日かけて骨までやわらかくしたり、ゆずを使う際、えぐみを取るため、米のとぎ汁でゆがき、その後1日、水にさらしたりと、手間をくわえることで日本料理の繊細さが表現できます」

──どういう料理を?

 「普段は旬の魚の刺身や天ぷら、野菜を使った小鉢などが楽しめる御膳が人気。現在はわかやまリフレッシュプランを利用する方が多く、ありがたいことに年内は予約でいっぱいです。弁当も好評で、多い日は500食、コロナ禍にお持ち帰りを求めて、県庁前まで車の列ができました」

──すごい人気ですね。

 「テイクアウト用に20種類用意しています。雑賀崎で獲れたサワラやアジ、サバなどの天ぷらや、色つやが良く、ふっくら炊き上がる県産の米、きぬむすめを使う『六つ葵弁当』、柿の葉寿司やごま豆腐など郷土料理が入った『和歌山づくし弁当』がおすすめです」

 

和と洋の融合

──この仕事を始めたきっかけは?

和歌山づくし弁当(2160円)

 

 「父が喫茶店を営んでいて洋食を、祖母は病院で食事を作っており、料理人の多い家庭で育ち、私自身も料理が好きでした。ある時、父がアバロームの前身である紀の国会館の料理長と会わせてくれ、そこから20年以上、ここで働いています」

──どんなお客さんが?

 「60代以上の方が多いです。舌の肥えたお客様に米のやわらかさを指摘された時は驚きました。良い意味で緊張感を持って仕事ができています」

──今後は?

 「今、注目しているのが伊勢エビ。少し洋食的な要素を和食に融合させられないかと、生クリーム、バター、うにに塩を加えて発酵させた調味料、うにひしおを合わせたソースで食べる料理を考えています。様々な味を研究し、日本料理の世界を極めたいですね」

 

【割烹 六つ葵】
和歌山市湊通丁北2-1-2
アバローム紀の国内
11:30〜15:00
17:30〜20:00
㊊㊋休み
☎073・436・1235

(ニュース和歌山/2021年12月4日更新)