◆つゆくさ句会・上野みのり選
甘えくる子犬のしぐさ初笑ひ     杉本 京子
まるまりて穏やかな声初雀      森井美惠子
尾根明り手を合はせ待つ初日の出   宮㟢美智子

 ◆狩・笹子句会・笹尾茂葉選
申年の夫に乾杯年新た        渡辺志げ子
余生なほ信じる道や初明かり     稲田 良子
初春や海煌めきて崎の宮       榎本かね子

 ◆名草公民館俳句会・大倉義正選
はつ日さす空と海とのへだてなく   山崎 愛子
紅うすくさして卒寿の初鏡      峯玉 弥生
三日はやぞべ糸抜きてそで通す    玉井  享

 ◆海南市住民センター俳句講座・塚月凡太選
読初めは海辺のカフカ下巻から    小倉 豊子
ますますと母に似て来し初鏡     木村 愛子
ぞろぞろと門口に出て初写真     石井久美子

 ◆i愛句会・手拝裕任選
緑青の吹ける騎馬像淑気満つ     小出 都美
注連縄や節くれの手の祖父しのび   新田 和弘
紅白の葉牡丹並ぶバス通り      小上 栄美

 ◆萌木俳句会・上中光選
土地土地に一の宮あり初詣      井谷 靜男
初夢や富士登頂にあと一歩      北野恵美子
朝刊のずしりと重し大旦       中川 艶児

 ◆芙蓉句会・上野みのり選
声出して読書始の名草戸畔      赤星佐和子
目も耳も口も健やか初鏡       古梅かほる
ネクタイに白衣のコック節料理    辻  多惠

 ◆松江公民館俳句会・須田光成選
うかうかと又年重ね初日の出     細川 里美
初空に大きく描く老いの夢      豊浦真由美
元旦や束の葉書を待ちわびて     田中登美子

 ◆つどいの家フレンド俳句会・宮本啓子選
寝るに飽き畑に出て見る三日かな   井田 春佳
精魂をこめし我が庭淑気満つ     鶴田 さち
里神楽横笛吹きの男前        田中 東杏

 ◆和歌山ホトトギス俳句会・各自選
四世代集ふ元旦賑やかに       岩内美登理
元結の白き淑気や土俵入り      辰田たかよ
除夜の鐘つきて踏み出す第一歩    田㟢よし子

 ◆南和俳句会・大倉義正選
孫ら待つ袱紗包みのお年玉      炭谷しげみ
ひとひらの白雲浮ぶ恵方かな     塩㟢 千鶴
亡き母の植木の手入れ初仕事     島影 美鈴

 ◆和歌山俳句会千心・笠野千居選
伊勢海老を飾る白寿の母の膳     川島 栄子
初景色鳶を眺むる和歌の浦      小池 ちえ
初電車「鳥居前まで停まりません」    山本 惠草

(ニュース和歌山2016年1月9日号掲載)