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 和歌山の良いところを探し出し、発信を続ける紀州文化の会が『あがらの和歌山・昭和のかほり』を5日に発行した。2007年から続くシリーズで、10作目。大江寛代表は「和暦の中で一番長く続いた年号で、一番変化があった『昭和』を残しておきたかった」と話している。

 郷土愛にあふれるメンバーはこれまで、「歴史」「人間」「地名」「方言」などテーマを変えながら、毎年春に出版を続けてきた。今回は戦争から高度成長へと変化に富み、メンバーに最もなじみ深いことから、「昭和」を取り上げた。

 巻頭には、取り壊されたイズミヤパン工場や旧和歌山市役所、また、白黒テレビや映画ポスター、週刊誌の写真を掲載。続いて、「カストリ酒」「ハイカラ」「ぶりっこ」「よっこいしょういち」など世相を表す言葉を並べた。

 本編は、昭和元年から64年まで年ごとに県内と日本の象徴的な出来事を紹介。途中、今も多くの市民になじみ深い会社や旅館、映画館、喫茶店、スーパーマーケットの開業・閉店情報、著名人の動向、さらに時々のカレーやコーヒーの値段を盛り込んだ。

 大江代表は「未来はだれにも分かりませんが、過去を学ぶことが、これからどう生きてゆくかの指標になるはず」と力を込める。

 B5判、492㌻。2480円。県内主要書店で発売中。同会(0736・67・7892)。

(ニュース和歌山2016年3月23日号掲載)