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 海南市を舞台に映画を作る「カイエイ有志の会」は、同市出身の江戸時代の治水家、井澤弥惣兵衛と亀池をテーマに『亀池のさくらひめ』を製作する。弥惣兵衛が造った亀池がある巽地区などをロケ地に撮影を予定しており、年内完成に向け3月24日、住民向け説明会を行った。同会の志場泰造さんは「今、私たちが地域の良さを映像で残し、地元のことを伝えなければ後世につながらない。巽地区の皆さんと考え、住民のアイデアをもとに作りたい」と協力を呼びかけた。

 同会は、昨年1月に市民有志が吉本興業と黒江で撮った短編映画『ISHICHI』に携わったメンバーで発足。昨年末には、同市や紀美野町が舞台の長編映画『見栄を張る』の撮影に協力したほか、藤白の鈴木屋敷をアピールするCM風の動画を手がけるなど地元の資源を映像で発信する。

 『亀池のさくらひめ』は今年、徳川吉宗が将軍就任300年であることから、吉宗に仕えた弥惣兵衛に着目。3つの映像を作る計画で、桜の名所になっている亀池や地元の田園風景を映す約8分の観光PR動画、弥惣兵衛の軌跡を追うドキュメンタリー、それらを掛け合わせた約20分の短編映画を生み出す。

 説明会後、約20人が監督や撮影に携わる製作チーム、美術や衣装の演出チームに分かれて話し合った。巽地区の池田慎一郎さんは「地元で映画作りは初めて。海南の人でさえ弥惣兵衛を知らない人がいるので、発信できる良い機会になる」と胸を躍らせていた。

 映像を通じた地域活性化を研究する和歌山大学観光学部の木川剛志准教授ゼミ生も参加。3年の荒見友稀さんは「地元の歴史や自然を伝えるために、地元の人だけで手がける熱い思いに共感した。現場で刺激を受け、研究に生かしたい」と話していた。

 詳細は「カイエイ有志の会」HP

写真=製作と演出チームに分かれて初めての会議をした

(ニュース和歌山2016年4月2日号掲載)