和歌山市は昨年3月末に見直しを終えていた都市計画道路のうち、今福神前線の今福~堀止と、南港山東線の西浜~秋葉町を優先して整備する。市の東西を結ぶ道路整備が遅れていたが、これらが完成すれば道路網は充実する。ただし、都市計画決定から50年以上手つかずで、対象地区には建設中の家もある。計画が昨秋、急に動き出したことで、今福神前線のうち特に住宅が密集する今福、吹上付近で歓迎と戸惑いの声が入り混じる。

160611_douro 市の都市計画道路は46路線、200㌔弱を整備するもので、大半は1965年に決定された。しかし、2年前で整備済みは6割に満たず、交通量減を見越し、昨年3月末までに計画を見直した。

 その結果、中央市場、高松交差点、国体道路を結ぶ水軒小雑賀線を断念する一方、推進路線としていた今福神前線の今福~堀止と、南港山東線の西浜~秋葉町を進める。

 今福神前線は既に新堀橋から東側の拡幅、宮前駅北側の跨(こ)線橋設置を終えた。当初は、湊神前線として整備する計画だったが、大浦街道の西を廃止したことで、今福神前線と名称変更し、今福~堀止を幅27㍍4車線から16㍍2車線へ縮小。ルートも一部見直した。

 市は昨年11月に地区住民に初めて計画を説明。その後、安全性を考慮し幅を18㍍へ再変更した。今年5月半ばに地元地権者対象の変更説明会を開始し、6、7年後には完成させたい意向だ。

 ただし、地元の今福、吹上地区では、昨年11月の説明会以降、賛否の声が入り混じる。「車イスや高齢者のために広げるのは賛成。特に、神明神社から西は細く、緊急車両が入れないので、安全のために必要」との賛成派。逆に、「堀止~今福間は50年も手つかず。昨秋、計画を知らされたと思ったら、もう立ち退きとは」と戸惑う人がいる。

 並行して進める南港山東線は、秋葉町付近を拡幅し、今後は大浦街道まで4車線化する。東部は2018年度に開設予定の和歌山南スマートインターまで延ばし、築港と4車線道路で結ぶ。

 地元住民には「南港山東線ができれば、広い今福神前線は必要か。旧道を少し広げれば良い」との声もあるが、市は「市の東西を結ぶ幹線道。旧道を少し広げて済むものではない」ときっぱり。

 市、住民とも思惑は様々だが、今後の道路整備にもかかわるだけに、慎重な対応が望まれる。

(2016年6月11日号掲載)