和歌山県内最大、調査成果披露
一昨年に国の特別史跡、岩橋千塚古墳群へ追加登録された天王塚古墳の石室見学会が3月3日(土)と4日(日)に開かれる。1964年に関西大学が発掘調査して以来、54年ぶりの公開で、準備を進める紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)の瀨谷今日子学芸員は「見る人を圧倒する規模を体感できる貴重な機会。和歌山県を代表する古墳を知ってもらい保存につなげたい」と張り切っている。
4~7世紀に造られた約800基の古墳が分布する岩橋千塚古墳群。約半数が国宝と同格の特別史跡で、中でも同丘から南東に約1㌔、山道を約40分歩いたところにある天王塚は標高152㍍と最も高い位置にある。
全長88㍍と県内最大規模を誇るものの、54年前の調査後は私有地だったため埋め戻し、手つかずだった。一昨年、特別史跡に追加登録されたことを受け、同丘が昨年7月から調査を進め、今回、その成果を知ってもらおうと見学会を開くことにした。
前方後円墳のくびれ部分から石室へ入ると、国内2番目に高い5・9㍍の天井。紀の川南岸で採れる結晶片岩の板石を積み上げた内壁と、8本の巨大な石梁、2枚の石棚が、石を加工する技術の高さと埋葬者の絶大な権力をうかがわせる。「規模だけでなく精密さも兼ね備えています。6世紀ごろに周辺を治めた紀氏の墓と考えられます」と瀨谷学芸員はみる。
今回は関西大学の未調査部分を調べ、レーザーで石壁の厚さを測るなど詳細なデータを収集した。銀やメノウといった希少性の高い玉や装飾付き土器が見つかり、今後、一般公開に向け整備する。
見学会は無料。応募は、往復ハガキに全員の氏名(4人まで)、年齢、希望日(午前・午後も。第2希望まで)、代表者の氏名(ふりがな)、郵便番号、住所、電話番号、来園方法を書き、〒640・8301和歌山市岩橋1411、紀伊風土記の丘へ。2月15日消印有効。同丘(073・471・6123)。
写真=石室内で説明する瀨谷学芸員
(ニュース和歌山/2018年2月3日更新)