日本代表チームの活躍で沸いたラグビーワールドカップ(W杯)。世界の強豪相手に奮闘した桜の戦士たちの活躍に刺激を受け、ラグビーを始める子どもたちが増えている。発足50年を迎えた和歌山ラグビースクール校長の榎本豊さんは「礼儀、友達と仲良くすることを大切に指導してきました。ワンチームで戦い、息のあったプレーを見せてくれた日本代表は子どもたちの最高の見本です」と目を細めている。

W杯受けラグビー人気〜和歌山県協会主催で12月に体験会

 「こっちへパス!」「つないで、つないで!」──。日曜午前、和歌山市福島の市民スポーツ広場に、だ円形のボールを追う子どもたちの元気な声が響く。

 1969年に活動を始めた和歌山ラグビースクールでは月3回の練習日、園児から中学生までが汗を流す。今年春の時点で部員は約40人。9月にW杯が始まり、日本代表が勝利を重ねると問い合わせが増えた。約30人が体験練習に参加し、このうち10人以上がすでに入部した。

 10月に入った蔦藤善くん(鳴滝小6年)は「日本代表が戦っているところを見て、かっこいいなと思い、始めました。特に好きなのはロシア戦で3つのトライを決めた松島幸太朗選手。みんなでボールをつなぐチームプレーが思っていたより楽しい」と充実した表情。同じく10月から参加する畠山拓巳くん(八幡台小4年)は「いつも体を張っている堀江翔太選手が好き。タックルはまだ少し怖いけれど、みんなでパスを回すところが面白い」と笑顔を見せる。

 以前からラグビーに打ち込む子どもたちも日本代表が大きな刺激に。キャプテンの髙山倖生くん(鳴滝小6年)は「W杯を見て、全員が今までより強くなろうと思いながら練習に取り組んでいるように感じます。僕自身は将来、日本代表になりたいと思うようになりました」と目を輝かせる。

 岩出ラグビースクールもW杯前の部員85人に加え、大会が始まって以降、12人が新たな仲間に。梅田卓代表は「練習を体験し、現在検討中の子も多いですね。練習中の子どもたちは田村優選手のキックを参考にしたり、『外国人選手がこんなパスを出してた』とマネしてみたりと、大きな影響を受けています」。

 代表の活躍を追い風に、和歌山県ラグビーフットボール協会は急きょ、「はじめてのラグビー体験会」を企画し、12月1日㊐午前9時から紀三井寺陸上競技場で開く。ラグビーボールに触れ、パスやキックの練習をするほか、持ち上げてもらってラインアウトをキャッチする体験も。初心者も安全にできるよう、タックルの代わりに腰に付けたタグを取るルールで行うタグラグビーを楽しむ。

 同協会理事の岡田博之さんは「ラグビー経験のない子を主にした教室は初めてです。〝ラグビーは子どもを大人に、大人にいつまでも少年の心を抱かせる〟との言葉通り、子どもたちの成長を支えてくれる。1人でも多くの子に面白さを知ってもらい、W杯後のラグビーを盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

 はじめてのラグビー体験会は無料。小学生の男女対象。見学のみも歓迎。申し込み不要。また、和歌山岩出各ラグビースクールの詳細はHPで。

写真=パスの練習に汗を流す子どもたち

(ニュース和歌山/2019年11月23日更新)