外国語で書かれた7300冊が並ぶ和歌山市手平の和歌山県国際交流センター。このうち、ベトナム語の112冊は、同センターのベトナム語相談員、グエン・ティ・トゥイ・ニューさん(写真)が同国からの技能実習生のためにと寄贈したものだ。ニューさんは「私にとって本が友達だったように、だれかの役に立てばうれしい」と声を弾ませる。

 母国で弁護士をしていたニューさんは2016年、結婚を機に和歌山へ。通訳の仕事のかたわら、今年4月から木曜と日曜、ベトナム語で相談に対応する。

 和歌山で暮らすベトナム人は近年急増している。09年は54人だったが、19年は韓国、中国に次いで3番目に多い922人と10年間で17倍に。このうちの多くは滞在期間が3~5年と短い技能実習生で、日本語の読み書きが難しい。

 このため、ニューさんは母国語の本を読めるよう、里帰りのたびに買い集めた書籍を6月に提供。ベトナム語に翻訳された村上春樹の小説はじめ、ドキュメンタリー、宗教、料理、医療など多彩だ。「自分にできることで応援したかった。ベトナムの話をしたい人や料理を勉強したい人は声をかけてほしい」とにっこり。

 県内で暮らす外国人を支援する同センターは「ベトナム語の本はなかなか手に入らない。本を読みに来る実習生が増えれば」と期待している。

 午前10時~午後6時半。㊌㊗︎休み。同センター(073・435・5240)。

(ニュース和歌山/2020年8月8日更新)