和歌山城郭調査研究会は、前年の調査結果を中心にまとめる恒例の機関誌『和歌山城郭研究』第14号を発行した。

 同会は2001年から市町村ごとに中近世の城跡を調べている。昨年は戦国時代に地域を束ねる武士団が権力のシンボルとして大きな山城を築いたみなべ町と旧龍神村(現・田辺市龍神村)で計25ヵ所を調査。このうち、これまで地元で近世の狼煙(のろし)場とされていたみなべ町滝の高幡山城跡では、敵の侵入をさえぎる「切岸」を確認し、戦国期に築かれたものと判断した。

 このほか、同会会員の松岡利郎さんは本願寺鷺森別院の建築、城郭談話会の髙田徹さんは和歌山城天守閣東側にある本丸を通して見た城の防御性について追究する論文を掲載。同研究会会員の森﨑順臣さんは、第2次世界大戦中の図面に記載されていない友ヶ島熊崎砲台の謎に迫っている。

 B5判、172㌻。1000円。県立博物館で販売。郵送希望者は送料込み1100円で、ハガキに住所、氏名、電話番号を書き、〒641・0052和歌山市東高松3─6─16、白石博則さんへ申し込む。白石さん(073・445・0122、午後8時以降)。

 なお、城郭見学会を5月17日(日)に実施。午後1時に美浜町吉原の松原小学校前集合。造ったのは室町幕府の奉公衆、湯河氏とも、豊臣秀吉の家臣とも言われる入山城。三宝寺をはさみ2つの城跡が並ぶ特異な構造をした入山城と周辺を、同会顧問の水島大二さんが案内。300円。申し込み不要。雨天中止。池田さん(0738・22・3702)。

(ニュース和歌山2015年5月9日号掲載)