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 和歌山市吉礼から下和佐にかけてある天王塚山古墳が、和歌山県の発掘調査により県内最大であることが判明した。その成果を伝える現地説明会が10月17日(土)午後2時に開かれる。1964年に行われた発掘調査の説明会以来、半世紀ぶりの開催で、古墳の外観全体が見られるようになる。

 天王塚山古墳は紀伊風土記の丘資料館から南東へ徒歩約50分、大日山と矢田峠のほぼ中間にある。6世紀中ごろの前方後円墳で、その規模から古代氏族紀氏の首長が埋葬されたとみられる。国の特別史跡、岩橋千塚古墳群の一つだが、他の古墳が集まる中心部から距離があり、史跡の指定外となっている。

 1964年の調査で横穴式石室が全国で2番目に高い5・9㍍あることが分かり、話題を呼んだが、以降、竹林に覆われ、風化が懸念されていた。特別史跡の追加指定を受け、保存しようと住民有志が2012年に「岩橋千塚を守る会」を発足。署名を集めて行政に保存を働きかけ、古墳への道の整備に努めていた。それらの活動が後押しの一つとなり、県が今年8月から発掘調査していた。

 その結果、土を水平に積み上げる古墳の構造や形状が判明。大きな成果は64年に86㍍と推定されていた墳丘の全長が、88㍍あることが明らかになったことだ。これまで同古墳群の大日山35号墳と同市木ノ本の車駕之古址(しゃかのこし)古墳と並び、県内最大級とされていたが、再調査により県内最大となった。

 説明会では、埋蔵文化財技師の話を聞きながら、古墳を一周し、発掘現場を巡る。県文化遺産課は「竹林を伐採して発掘を進めたので、古墳の上から紀の川対岸にある古墳や有田市の地ノ島など360度景色を見渡せる。現地に来て、当時の首長に思いをはせてほしい」と語っている。

 天王塚山古墳集合。無料。申し込み不要。同課(073・441・3731)。

写真=古墳の断面から、階段状に土を積む段築を確認した

(ニュース和歌山2015年10月17日号掲載)