500gou-昭和から平成 半世紀超え

市民に寄り添う姿勢一貫

  ニュース和歌山発刊は1964年12月8日。戦後復興の象徴、東京オリンピックから2ヵ月、日本中が新たな未来へ夢をはせた時代です。以来、市民生活の糧となる新聞を念頭に発行を続け、きょう5000号を迎えました。1000号ごとの節目とその前後の紙面から和歌山を振り返ります。

創刊号《1964.12.8》硬軟織り交ぜ身近な紙面

20170121-2b 創刊号は、1面で5期目に入った小野真次知事の「和歌山のためには阪和合併以外にない」との決意を紹介。大阪、奈良との合併構想が盛り上がりを見せた時代で、広域行政を進める国の方針もあり、「任期中に合併の約束だけでも取り付けたいのが知事の念願であろう」と書いた。当時は高度成長のまっただ中で、国道42号、第二阪和国道の推進、紀勢線の複線化といった交通網整備を筆頭に、紀の川流域を含む北部臨海工業地帯開発と、小野県政総仕上げに県産業振興を挙げた。

 中面では、「人口急増に住宅供給が追いつかない」と行政による公的住宅政策の課題を指摘。毎年120戸建設しても、住宅困窮世帯解消まで30年以上かかると試算した上で、今後も人口増が進めば、「住宅難解消はいつになることやら」と懸念をみせた。20170121-2c

 また、正月を前に新和歌浦ほか観光地の女中不足、団地の空き巣対策と身近なニュースを拾い、読者ページには東和歌山駅(現・和歌山駅)前のタクシー駐車に苦言を呈する市民の声を載せた。

 このほか、ムードの良い喫茶店やおいしいとんかつ店と、街の評判をミニ情報として掲載。地方の未来を占う硬派な記事から、ちょっとした街の話題まで幅広く盛り込み、市民生活に寄り添う本紙の姿勢を表した。

写真上=「週刊和歌山ニュース」で出した創刊号

写真下=人口増時代の住宅難を指摘

 

 1000号《1983.9.7》行政主導で積極開発

20170121-3a 1000号は創刊から19年の1983年9月7日。当時は毎週水土曜の2回で、紙面前半に政治、行政関連、後半に芸術・文化を配置する形を固めていた。

 トップは10月末の知事選。現職は既に出馬宣言したが、相手の革新候補が決まらず、「投票率と得票数が焦点」とみる。中面には「図書館情報網も夢でない」の見出し。当時は、県立図書館が和歌山城内にあり、図書データをコンピュータ管理し他の館に広げることで、図書館同士をつなぐ情報網が可能と記した。

 直後の9月21日号には「和歌山市の鉄冷え深刻」。住友金属との取り引きが落ち込んだ76社が融資を申し込む、企業城下町ならではの苦しい実態を報告した。

 このころ、加太森林公園の整備、前年完成したばかりの片男波海水浴場拡幅と地域開発の記事が目立ち、行政の積極的な予算配分がうかがえる。

写真=迫る知事選を報じた

 

2000号《1992.6.16》医療、福祉、暮らし 密接に

20170121-3b 2000号は92年6月16日。県内初の救急救命士誕生と、救急車に医師が同乗するドクターカー制度の導入計画、目の不自由な人にニュース和歌山の朗読テープを届ける「グループ声」の活動を伝えた。直前の6月11日号では県内初の軽費老人ホーム「ケアハウス」着工を報道している。

 また、働く女性のサポートとして、学童保育事情に紙面を割く一方、過労死した女性教師を取り巻く状況を連載した。さらに、障害者を受け入れる作業所の相次ぐ開設を積極的に取り上げ、高齢者向けの模擬運転体験装置の活用促進と、生活に密接に結びつく医療、福祉関連記事が充実度を増した。

写真=県内第1号の救急救命士誕生を取り上げた

 

3000号《1998.11.21》地に足ついた活動

20170121-3c 和歌山ラーメンの全国的なブームで幕を開け、夏に発生した毒物カレー事件で注目された98年。11月21日に3000号を迎えた。

 同日号で「小さな親切運動」として、親切を紙面で紹介し住みよい社会づくりを進めると表明。中面では、岩出に開設されたワークプラザを訪れる求職者の増加に、バブル崩壊後の傷の深さに言及した。

 不況の時代は、自分にできる地に足がついた活動に焦点を当てた時期でもある。仕事の場をつくろうと、お年寄りが相互に助け合う高齢者生活協同組合設立に向けた動き、動物とのふれあいでお年寄りに安らいでもらおうとするボランティアの活動、朗読講座修了生による紙芝居工房が子ども向け上演を目標とする取り組みを紹介した。

写真=高齢者生協への動き(3001号)

 

4000号《2006.4.19》市民運動が盛り上がり

20170121-3d 2006年4月19日の4000号は、南海地震に備え、初めて地元住民の意見を取り入れた防災マップと、公共施設ほかのバリアフリーマップを掲載、安全でより暮らしやすいまちづくりを啓発した。

 これに先立つ8日号で南海電鉄から貴志川線の経営を引き継いだ和歌山電鐵出発式の記事。廃線の危機に、地元住民らが結集しフォーラムやイベントを開催、思いが結実した日を伝えた。

 また、15日号では和歌山からJリーグチームをつくる会が主体となり、翌年のアルテリーヴォ和歌山発足につながる動きを紹介。このほか、和歌祭保存会が祭を盛り上げるために行った百面作りを報じた。いずれも行政主導でなく、市民主体の活動が盛り上がる時代を切り取った。

写真=貴志川線が新たに出発(3996号)

(ニュース和歌山2017年1月21日更新)