解体中の南海和歌山市駅ビル跡に移転する和歌山市民図書館の運営体制について8月23日、現図書館で説明会が開かれ、市民30人が耳を傾けた。坂下雅朗館長が「指定管理者制度による民間活力の導入でサービスの向上を図り、来館者増につなげる」と説明。これに対し、参加者から「民間に管理、運営を丸投げするのは、図書館にふさわしくない」と反対の声が上がった。

 2019年10月に開館予定の新図書館。指定管理者制度導入は、今年6月の市議会で決定した。

 説明会では、午前9時〜午後9時まで開き、休館日は第3水曜のみで、年間開館時間を現在の1・5倍にするほか、物販やカフェコーナーの設置、地域資料のデジタル化といった計画を、同制度を導入した他市の事例を交え、紹介した。

 参加者からは「利用者が増えれば、書籍予算が増えますか」「隣に商業ビルができるのに、飲食や物販は必要ですか」と質問が寄せられた。

 参加者の一人、同市の中村行子(みちこ)さんは1月に「市民図書館について学ぶ会」を立ち上げ、大阪府熊取町の図書館見学会や勉強会を開いてきた。「学校図書室との連携など収益につながらない事業は教育委員会が直接管理運営してこそ可能。ベテラン司書のノウハウを生かし、図書館本来の機能を果たすべき」と強調した。今後も勉強会を続け、要望の申し入れを考える。

 なお、5月にオープンした松江の市民図書館西分館は民間企業に運営を委託しているが、公立図書館に指定管理者制度を導入するのは県内で初めてとなる。

写真=指定管理者制度について意見が出された

(ニュース和歌山/2017年9月2日更新)