新年あけましておめでとうございます。さて、「一年の計は元旦にあり」とよく言います。「計」は計画のことで、今年一年の計画を立てて、素晴らしい年にしていこうとの意味です。皆さんも2022年の計画を考えられましたか?

 私は2021年12月より、「第2次田辺市生涯学習推進計画・後期基本計画」を策定するために、田辺市内にある地区公民館を訪問しています。田辺市には20の地区公民館があり、全体計画だけではなく、地区単位の生涯学習推進計画を立てています。

 生涯学習はどうしてもお稽古事とか、定年退職後に参加する学習とイメージされますが、それはあくまで本来の意味の一部です。私は生涯学習を「国民の学習権に基づく、学校教育と社会教育、その他、学習活動も併せた統合的教育・学習体系の総称」と定義しています。

 皆さんが経験してきた学校教育、公民館・図書館・博物館での学び、地域の課題解決や地域づくりに向けた学習活動、キャリアを転換する時の学習もすべて含まれます。自分自身や仲間、地域がより良く生きることを支えるものであると考えます。策定している生涯学習推進計画には幅広い観点が盛り込まれています。

 計画「書」づくりであれば「だれかにお任せすれば良い」との話になりがちですが、あくまで「計画づくり」。そのプロセス自体が学習活動で、ここが最も重要な視点です。実際のワークショップでは様々な地域の課題や自慢、思い、願い、希望が出されていきます。

 今回は「地域カルテ」という取り組みも始めています。地域の人口や就業形態、空き家数、健康状況などを公民館単位で見える化しています。ワークショップでは今後、新しく調べたいこととして、「運転免許証の返納率」「子どもが遊べる公園の面積」「地域に残りたいと思っている子どもの数」のような意見が出てきました。地域に根差す新しい視点に、私は話し合いや学習は自治の源であることを再認識しました。

 計画は立てて終わりではありません。計画倒れにしてはいけません。計画づくりはスタートライン。これをどのように生かしていくのか。生かすためには計画を進める「エンジン」と「進ちょく管理」が必要不可欠です。

和歌山大学准教授 西川 一弘(第2土曜担当)

(ニュース和歌山/2022年1月8日更新)