毎月、第2、4水曜号で大好評の「ニュース和歌山子ども版」。今回はお正月特別号として、和歌山北高校出身の体操選手、田中佑典 選手をインタビューしました。兄の和仁選手、姉の理恵選手と3きょうだいそろって出場したロンドン五輪から4年。今年の目標は、やはり8月に開かれるリオ デジャネイロ五輪での金メダルです。

小6の文集

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──体操を始めたのは。
  「小学1年の時です。先にしていた兄と姉の練習を家で待っているのが嫌で。学校が終わると毎日、母の運転する車で和歌山北高校の体育館に行き、夜の9時ご ろまで練習しました。6年の文集では、将来の夢に『五輪で金メダル』と書きましたね。その後、中学3年になった2004年、アテネ五輪で日本が団体の金メ ダルを獲ったのを見て、『あの舞台に立ちたい』との思いが強くなりました」

最大の武器

──12年の五輪で団体銀を獲得し、変わったことは。
 「それまで五輪は夢でしたが、『現実に狙える、そこでどう成績を残すかだ』と目標がはっきりしました。次こそしっかり自分の演技をし、団体金、個人総合や種目別でもメダルをと考えるようになりました」
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──個人総合は同じコナミスポーツクラブに所属する世界王者、内村航平選手がライバルになります。
  「世界の体操を引っ張っている人。その航平さんに勝つつもりで練習を積めば、日本の団体の金メダルも近づくはずです。若い選手も育っていて、五輪に出られ る5人に入るための今年の国内予選は厳しくなると思います。新しい技を入れるより、僕の最大の武器である丁寧な体操を今まで通り突き通していきます」

──最後に、地元の子どもたちにメッセージを。
  「夢を持つのは大事。その上でだれかを目標にするとその夢がはっきりすると思います。僕の場合は(アテネ五輪団体で金を獲った)冨田洋之選手でした。その 人はどうやってそこまでたどり着いたのかなと考えると、自分が何をしていけばいいかの参考になる。夢をより具体的な目標にし、頑張ってほしいですね」

 

あれこれQ&A 好きだった給食は? 小学生に戻れたら?

Q 小学生のころ、好きだった給食は?
 「地味でしぶいですが、ちくわの磯辺揚げです。今の給食はどんなのでしょうか? ちょっと食べてみたいですね。嫌いな食べ物は今も昔もありません」

Q もし小学生になれる薬ができ、子どものころに戻れるとしたら、また体操をしますか? それとも別の競技をしますか?
  「難しいなぁ…。他のことをしてみたい気持ちもあるんですけど、最初に頭に思い浮かんだことが『あのころ、体操でもうちょっとあんな練習しておけばよかっ たなあ』ということだったので、やっぱり体操です。今思う反省点を元に取り組んでいたら、もっと強くなれるんじゃないかなと思っちゃいますね」

Q 最近、泣いたことは?
 「昨年10月に開かれた世界選手権の団体で金メダルが獲れた瞬間です」

Q ラグビー日本代表の五郎丸歩選手がキックする前に行うポーズが話題になり、「ルーティーン」という言葉が流行しました。田中選手のルーティーンは?
 「足の先までよりやわらかく見せるため、演技直前に足の指をポキポキ鳴らすことです。実際、あまり変わらないかもしれないですけれど、やらないと何かすっきりしないんです」

田中佑…1989年生まれ。紀伊小 ─紀伊中 ─和歌山北高─順天堂大─コナミスポーツクラブ。2012年のロンドン五輪団体銀メダル、14年の世界選手権個人総合銅メダル、15年の世界選手権団体金メダルなど世界を舞台に活躍する。

(ニュース和歌山2016年1月3日号掲載)