2年前、和歌山市住吉町の本町小学校跡に開学した和歌山信愛大学。この1期生が今年度、学校周辺の本町地区の人たちと交流を深めている。岡田七海さんは「市の中心で学ぶ私たちが地域を知り、活動していくための第一歩」と笑みをこぼす。

 市街地活性化を目指し和歌山市が誘致した4年制大学で、2年次に和歌山県内5ヵ所で街の課題を調査し、教育や福祉の点から地域と交流を図るゼミがある。このうち江口怜助教が指導する20人が、「住民と学生の関係性を築く」をテーマに、2組に分かれて活動している。

 一つは、学生がぶらくり丁の店を紹介するホームページ作り。「おしゃれ」「安い」「写真映えする」など学生の視点で、飲食店を中心に8店を取材し、大学HPから見られるようにした。上田潤さんは「どんな店があるか知らなかったが、親しく様々な経験を話してくれる店主ばかり。皆が行きたくなるよう、写真をメーンにまとめました」。取材を受けた諏訪園の永原敏行店主は「まじめに話を聞く姿が印象的。商店街に興味を持ってくれるのはうれしく、今後さらに交流が深まれば」と期待する。

 もう1組は、大学北隣にある空き家の活用を目指すわかやまおもちゃ病院、小林修治代表の計画に参加する。空き家をどう活用したいか地元の人に聞き整理したところ、「昔のように様々な世代が気軽に交流できる場所が必要との意見が多かった」と有野結愛さん。小林さんは「だれもが気楽に過ごせる〝縁〟側をつくりたいと始めた。学生たちと楽しみながら進めます」。3月3日には壁の塗装を一緒に行う。

 江口助教は「校内にたまり場がないため、学生たちは街へ出ることになる。街全体が学びの場。地域の人と交流し、自分たちで居場所をつくる経験は何よりの学び」と話している。

写真=昨年開かれた本町地区のこども食堂では子どもたちと交流

(ニュース和歌山/2021年2月27日更新)