mochimaki 神社や寺の祭、また、家を建てるとき、やぐらの上から餅がまかれることがあります。和歌山は全国的にも盛んで、「餅は神様からのおすそ分け」と考えられ、その日は大にぎわい。開催日と場所を紹介するカレンダーがインターネットにあります。君も〝おすそ分け〟をゲットしよう。

 和歌山の餅まきは、江戸時代の本『紀伊国名所図会』にあるほど古くからの伝統行事です。「湊のえべっさん」として知られる和歌山市小野町の水門吹上神社がその場所。「牛の舌餅」と呼ばれる大きな餅を投げる様子が描かれています。

 小島清藏宮司は、「新嘗祭といって、豊作を祝い神様に感謝したのが始まり。今も、畳ほどある牛の舌餅を作ります。毎年11月23日、祭殿にお供えした後、小さく切って投げますよ」。

 餅まきに目をつけたのが、県庁に勤める林清仁さん。家を建てる人や、厄年といって悪いことが起きるとされる年齢の人が餅をまくのは、珍しいことではありません。

jyokamachi_mochi 調べてみると、和歌山は全国的にも餅まきが多く、祭や厄年、新築だけでなく、結婚式や道路の開通など、お祝いや安全を願い、ことあるごとにまいてきたことが分かりました。

 「長年続いてきた和歌山の文化を残し、観光にも役立てよう」と、林さんは4年前、各地の餅まきを伝えるフェイスブックページ「餅まきの聖地!」と、場所と日時を紹介する「餅まきカレンダー」をインターネット上に作りました。これを見て、和歌山に来る観光客もいます。

 餅をうまく拾うコツを聞くと、小島宮司、林さんとも、「飛んでくる餅を見ず、地面に落ちたのを取ること」と口をそろえます。

 昔の絵には、裸になった大勢の男の人たちが、投げられた餅を取り合う様子が描かれ、熱気が伝わってきます。

 餅まきに参加するときは、くれぐれもケガに気をつけて。

(2016年11月9日号掲載)