《回答者》
消化器外科・一般外科
福外科病院 消化器外科専門医・大腸肛門病専門医・消化器病専門医
福 昭人院長

 そけいヘルニア(脱腸)と思われます。放置していると腫れは時間とともに大きくなり、男性では陰嚢まで腫れ上がることが多いです。腫れがひどくなると腸が大きく脱出し、おなかの中に戻らない、いわゆる「腸閉塞」の状態になり、激しい痛みや全身状態の悪化に陥ることがあります。女性では卵巣が脱出することもあるので注意が必要です。通常は痛みがないため放置されがちですが、悪化することはあってもそのままでは治りません。

 治療は、消化器外科での腹腔鏡手術が一般的になりました。腹腔鏡手術は、小さな傷から腹腔鏡という内視鏡を入れ、おなかの中で病変を治療します。切開法のように患部の筋肉を切開しないので痛みが少なく、再発率も低いのが特徴です。そのため、職種にもよりますが早期復職が可能といわれています。なお、腹腔鏡手術は原則日帰り手術となります。まずはかかりつけ医に相談し、消化器外科専門医を紹介してもらいましょう。

(ニュース和歌山/2020年12月19日更新)