《回答者》
外 科
楽クリニック
藤田 定則院長

 肛門近くの違和感から始まり、強い痛みを伴いながら腫れていく病気に「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」があります。

 普段から下痢や軟便の方、毎日飲酒する方、疲労で抵抗力が弱っている方、温水便座を常用している方などに発症しやすい傾向があります。最初は違和感程度ですが、次第に痛みに変わり、時間の経過とともに腫れは急速に大きくなっていき、高熱を伴うこともあります。

 治療の基本は、切開して膿を出すことです。膿が出ると痛みは和らぎます。初期の「少し腫れている」程度であれば、薬で治ることもあります。

 この肛門周囲膿瘍を繰り返していると、症状が進み「痔ろう」になります。痔ろうは手術でなければ根治しません。治療せず放っておくと症状が複雑化し、治療が困難となり、まれに「痔ろうがん」になることもあります。

 肛門周囲膿瘍の疑いがある人や、何度も再発している人は早めに診察を受け、根本的に治療するようにしてください。

(ニュース和歌山/2021年5月23日更新)