福外科病院 左下腹部 腫れ

《回答者》
消化器外科・一般外科
福外科病院
消化器外科専門医
大腸肛門病専門医
消化器病専門医

福 昭人院長

 直腸肛門の感染症です。抵抗力が低下していると直腸と肛門の境界にある肛門小裔(しょうか)から細菌が侵入し、肛門括約筋にある肛門腺に感染することがあります。炎症がひどくなって、あちこちに波及し、膿がたまった状態を肛門周囲膿瘍(のうよう)といいます。これは抗菌剤で軽くなることもありますが、完治はしません。悪化すると発熱と肛門の痛みが強くなります。さらに我慢すると膿瘍が破裂し、直腸、肛門と皮膚が瘻管(ろうかん)というトンネルでつながり、難治性の痔瘻となります。肛門周囲膿瘍は一刻も早く大腸肛門病専門医を受診することが望まれます。とくに糖尿病など基礎疾患のある方は重症化することがあります。

 痔瘻になれば痛みや発熱は軽くなりますが、排膿で下着を汚したり、排膿が悪くなると痛みや微熱が出たりするため、手術が必要です。一般に肛門機能を損なわないように括約筋温存手術が行われます。外来手術として痔瘻結紮(けっさつ)術もありますが、長期通院を要するため一長一短です。まずは専門医にご相談ください。

(ニュース和歌山/2021年7月24日更新)