《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医  手外科専門医
谷口 泰德副院長・センター長

 ゴルフ、野球、テニスなど道具を握ってするスポーツで手のひらの小指側に痛みがでるケガに有鉤骨鉤骨折があります。手首には小さな骨が8個あり、その一つが有鉤骨です。有鉤骨に突起があり、この部分を有鉤骨鉤と呼びます。転倒して有鉤骨鉤を骨折することがありますが、原因のほとんどはクラブやバットの繰り返しのスイングの衝撃で、それが有鉤骨鉤に加わり骨折を起こします。症状は、ケガの直後には強い痛みがありますが、しばらくすると軽くなり普段の生活ではあまり痛みを感じなくなります。手のひらの小指側を押すと痛みがあり、ゴルフクラブなどを振ると痛みが強くなります。

 X線検査で骨折が確認できず、骨折しているのに打撲と診断され発見が遅れることがあります。診断が遅れると小指のシビレや腱断裂を合併することもあります。早期の診断にはCT検査が有用です。治療法としてギプス固定では長期間の固定が必要です。そのため早く治したい方には手術が勧められます。手術は折れた有鉤骨鉤を切除します。骨片を切除しても問題はありません。スポーツ選手もこの手術を受け、まったく支障なく競技に復帰しています。詳しいことは手外科専門医にご相談下さい。

(ニュース和歌山/2023年3月25日更新)