《回答者》
◆循環器内科
みなかたクリニック
南方 常夫院長

 ご相談者の検診結果を見せていただきましたが、クレアチニンが21年度はCr1.13㎎/dl(eGFR52.1㎖/dl/1.73㎡)、22年度はCr1.20㎎/dl(eGFR48.6㎖)、23年度はCr1.31㎎/dl(eGFR43.9㎖)と低下しています。しかし、蛋白尿(微量アルブミン尿)は認めない高血圧傾向にあるとのこと。eGFR(推算糸球体ろ過量)が低下していることをあわせると、CKD(慢性腎臓病)と考えられます。

 ただし、ご相談者の場合、CKD(慢性腎臓病)の重症度分類に照らし合わせると、腎機能中等度低下G3a(A1)の状態です。A1は尿所見正常ですので、高血圧に伴う腎硬化症の可能性があります。

 eGFR(推算糸球体ろ過量)の低下速度を見ると、末期腎不全に至る時期が推定できます。また、腎硬化症には、尿蛋白を伴うものと伴わないものがあり、尿蛋白を伴わないにもかかわらず腎機能が悪化する症例が注目されています。この場合、eGFRの低下をよりゆるやかにする薬剤の選択に注意が必要です。

 しかし、eGFRは夏の暑さが引き起こす脱水症などによって変動することがあり、一喜一憂する必要はありません。定期的な観察が必要です。主治医とよくご相談ください。

(ニュース和歌山/2023年9月24日更新)