縄文土器づくりや地元の古墳見学を通じ、古代の生活と歴史を学ぶ松江小学校(和歌山市松江北)、木本小学校(同市榎原)を訪ねました。実際に手でふれ体験し、一層深い学びにつながったようです。

松江小6年生 野焼きし縄文土器製作

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 松江小では5月27日、6年生71人が製作した縄文土器の野焼きを行った。校庭に木片や角材を高さ3㍍ほど積み上げ、6時間かけて焼き上げた。

 縄状にした粘土を重ね、底に日付けと名前を刻んだ土器を製作した。新聞紙を木のすきまに投げ入れ、「3・2・1…」と全員でカウントダウンして着火した。みるみるうちに燃えさかり、火柱が大きくなると、「めっちゃ熱い」「うわ~煙たい」と顔や口を覆いで驚いた様子。

 使い終わった版画板や校内に落ちていた枝などを小さく折り、離れた場所から投げて火にくべ、友だちと語り合いながらどんどん勢いを増すオレンジ色の炎を見守った。

 西岡宗次朗くんは「ジャンケンで負けて着火できなかったのが残念。昔の人はこうやって皿を作っていたんだなと想像しました。できたものはペン立てにしたい」と笑顔。

 藤本典子校長は「今の子は家のコンロが電磁調理器だったり、たき火をしたことがなかったりと、火を見る機会があまりない。自分の肌で火の強さや怖さを感じ、土器を作って想像する体験が教材代わりになります」と目を細めていた。

写真=燃えさかる火の熱さに驚く児童たち

木本小6年生 県内最大級の古墳学ぶ

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 校区内に県内最大級の前方後円墳、車駕之古址(しゃかのこし)古墳がある木本小の6年生89人が5月30日、古墳に隣接する児童館で出土品を見ながら専門家の解説を聞いた(写真)。

 日本で初めて金の勾玉(まがたま)が見つかった同古墳は公園に整備され、子どもたちの遊び場になっている。この日は市文化振興課の前田敬彦班長が、宅地開発のため28年前に発掘調査が始まり、貴重な出土品が次々見つかった話や、全長86㍍の古墳は大きく、住民らによって守られ保存された経緯を説明した。

 また、金の勾玉は銀と銅を混ぜて強度を高めている点、アクセサリーに使われた直径2㍉のガラス玉に1㍉の穴をあけるなど、当時の高い技術力について説明。子どもたちは実際に出土品のかけらにふれ、硬さや重さを体感した。

 古墳のくびれ部にある造り出しの意味について質問が出ると、前田班長は「周囲からはにわがたくさん出土したことから、色んなはにわを並べ、おまつりをする大切な場所だったようです」と回答。この後も次々と手が上がった。

 中筋翼くんは「教科書よりも詳しい話が聞けてよかった。いつも遊んでいる公園がこんな場所だったとは」とびっくり。硲那由美さんは「機械のない時代に小さな穴をあける技がすごいと思った」と感心した様子だった。

 最後は古墳に移動し、シロツメクサが咲く公園内を皆で元気にかけ回った。

(ニュース和歌山2016年6月4日号掲載)