高校野球の甲子園常連校、智辯学園和歌山高校の生徒たちが、科学、そして金融経済の知識を問う2つの〝甲子園〟でも全国切符を手にした。「科学の甲子園」では科学部が和歌山県大会にあたるきのくに科学オリンピックで5連覇を飾り、今年初開催の「エコノミクス甲子園」和歌山大会は、1年生2人で組むRedBlazeが初代県王者に輝いた。

部員の個性生かし科学の和歌山県大会V5

 きのくに科学オリンピックは10月21日と11月12日に開かれ、和歌山県内8校、12チームが参加。6~8人がチームを組み、理科、数学、情報の筆記、実験、実技で競った。

 今年の実技は、決められた長さの針金でコマを作り、いかに長い時間回し続けられるかがテーマ。同部はコマの重心を低く、直径を大きくして回転を安定させ、1分42秒を記録した。このほか科学の知識を問う筆記、実技ともに好成績を収めめ、総合得点でトップに立った。コマを製作した坂田拓真さん(2年)は「回っているコマを眺めている間は緊張のあまり、ずっと手に汗いっぱいでした。優勝と聞いた瞬間、安堵と喜びに包まれました」。

 全国大会は来年3月に埼玉で実施される。玉置智隆部長(2年)は「授業で学ぶ範囲を超え、科学に関する力試しができる場。手先が器用で工作が得意、筆記試験で力を発揮するなど部員の個性を生かし、チームワークで臨みます」。顧問の西畑栄子教諭は「部員の中には自分たちでテーマを選び、大学と共同研究をする学生もいます。積み上げた自主性を大きい舞台で発揮してもらいたい」と期待している。

写真=「科学の甲子園」へ出場する科学部メンバー

 

金融・経済の知識 1年2人 県制す

 12月10日のエコノミクス甲子園和歌山大会を制したRedBlazeは、1年の安田圭一郎さんと大谷竜斗さんでつくる。

 全国大会は、世の中はどのような金融や経済の仕組みで動いているかを理解してもらおうと、金融知力普及協会が2006年から開いている。初開催の和歌山大会には、県内8校の23チーム46人が挑んだ。

 筆記試験と早押しクイズによる予選を通過した6チームが決勝に進出。元本100万円をどう増やすかを競った。1問ごとにテーマが示され、間違えても元本が減らない預金か、リスクはあるが正解すれば大きく増やせる資産運用かを選び、経済や法律の専門用語や和歌山産品にかかわる問題に挑んだ。

 RedBlazeの2人は大会に向け、9月から問題を出し合い、本番に備えた。決勝では、終盤までに2位に100万円以上の差を付け、最後は追いすがる2位チームに4万円差で逃げ切った。

 安田さんは「最初に運用で稼ぎ、その後は預金で着実に増やす戦法が実りました」、大谷さんは「予選の早押しは緊張しました。決勝の最終問題は絶対に答える自信がありました」と胸を張る。和歌山大会を主催した紀陽銀行の松岡靖之頭取は「勝敗は紙一重で、極めてレベルの高い戦いでした」と感心していた。

 2人が出る全国大会は来年2月に東京であり、優勝すればニューヨーク研修旅行に参加できる。

写真=全国大会行きのキップを手にしたRedBlazeの2人

(ニュース和歌山/2017年12月16日更新)