社員の健康増進に力を入れる花王和歌山工場が、自転車通勤を奨励している。昨年はスポーツバイクによる通勤健康プログラムを取り入れ、今年は自転車に乗ることが精神面に与える影響を確認した。同社健康相談室の保健師、堀祐子さんは「参加者が効果を実感したことで、同僚へ波及効果があります。長い目で見れば医療費削減も」と期待を寄せる。

▲社員でサイクルイベントにも積極的に参加

 同工場では従業員1900人の8割が運動不足を自覚。これを背景に、生活習慣病を懸念する同工場が10年ほど前、通勤で日によって車と自転車を使い分けるのを認めたものの、それほど広まらなかった。

 昨年は、社員40人にスポーツ自転車を貸し、自転車メーカー、シマノの指導で、3ヵ月間通勤に活用する健康プログラムを実施した。入社以来の体重増を何とかしたいと考えていた笹原久武さん(29)は「3ヵ月で体重と脂肪数値が下がり、足の筋肉量が増加しました。これをきっかけに昔やっていたテニスを再び始めました」と笑顔を見せる。取り組みでは、出勤前後、退社前後の気分も調査し、「やる気が出る」といった効果が見られた。

 今年は参加者を6人にしぼり、シマノが提唱するマインドスイッチに挑戦した。自転車に乗ることで気持ちのオン、オフを切り替えるのが目的。シマノの担当者がメンタル面への影響について説明した後、雑賀崎まで走った。体力の落ち込みを感じる原光志(てるゆき)さん(28)は「初めて乗ったスポーツ自転車で坂道を軽々とのぼれ、魅力を実感しました。前向きになりました」。

 取り組みの後、同工場の自転車利用者は2年前から1%増え26%に。来年も続ける方針で、堀さんは「大きな変化ではありませんが、『乗ればやせる』と考える人が多く、潜在需要はあります。サイクルイベントへの参加呼びかけや、駐輪場整備を進め、従業員の健康につなげたい」と意欲を見せる。

(ニュース和歌山/2017年12月6日更新)