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 日本最高齢の現役助産師、田辺市の坂本フジヱさん(91)が3冊目の著書『ばあちゃん助産師 こころの子育て』を産業編集センターから4月14日に出版した。出産と育児の本『大丈夫やで』『大丈夫やで2』に続くメッセージ集。坂本さんは「お産に命をかける母子に70年向き合い、心に染み入るほど分かってきた赤ちゃんの思いをどうしても今、皆さんにお伝えしたかった。育児や夫婦関係に悩むお母さんに手にとってほしい」と語る。

 坂本さんは1924年、みなべ町生まれ。14歳で働き始め、23歳で田辺市の自宅に助産所を開業した。陣痛促進剤や胎児吸引の医療機具に頼らず、赤ちゃんの呼吸に合わせた自然分べんにこだわる。これまで4000人以上のお産に携わり、子育てのよろず相談所としても地域に貢献する。

 『こころの子育て』は、0歳児の時に母親が降るほどの愛情をそそげば信頼関係を築け、自尊感情のある子に育つとの考えを説く。妊娠中の過ごし方や授乳の仕方、泣いた時の対応法のほか、産後復帰する女性への応援や離婚を考える夫婦へのアドバイスを記した。「自分が理想とする子育てでなく、赤ちゃんをよく見て、その子が望む子育てを。赤ちゃんは何でもお見通しですよ」

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 絵本作家、つつみあれいさんのイラストを添え、「母である前に」と題して人としての生き方をつづったエッセーも掲載。坂本さんは「理解できないような痛ましい犯罪が多いのは、赤ちゃんの時の養われ方に影響があるように思います。愛情を持つ人が増え、社会がもう少し浄化されますように」と願っている。

 A5判、216㌻。1512円。産業編集センター(03・5395・6133)。

写真=3冊目の著書を出した坂本さん(上)。今も自らの助産所でお産と向き合う(下)

(ニュース和歌山2015年4月18日号掲載)