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 文明開化期の明治初期に建てられた和歌山市今福の郭家住宅を考える学習会が10月18日、同市小人町のあいあいセンターで開かれた。近代建築史研究者らが住宅の歴史的価値や希少性を指摘し、50人以上の参加者と共に保存への方策を探った。

 学習会は和歌山県建築士会が主催。郭家の現状を収めた記録映画上映後、地元建築史家の西山修司さんが、西洋医学の医師だった建築主、郭百輔氏の人物像や、築後140年近く経ち維持が難しくなっていることを説明した。

 続いて、足立裕司神戸大名誉教授が、「当時の日本人大工が建てた洋館を擬洋風建築と呼び、全国的に残っているものは少ない」と希少性の高さを強調。「同時期に兵庫県三田市に建てられた県重要有形文化財の九鬼家は和洋折衷なのに対し、郭家は洋風で統一され、携わった大工の洋館への理解が深いことが伺われる」と解説した(写真)。特に、郭家は洋館と診療棟、さらに陸奥宗光の生家から移築したと伝わる数寄屋などが残ることで、「当時の医院建築を知ることができ、郭家全体は重要文化財クラスの価値がある」と断言した。

 西山さんは「和歌山市は戦災があり、歴史的建造物が少ない。郭家のように歴史ある建造物の保存は魅力あるまちづくりに不可欠」と語った。

(ニュース和歌山2015年11月7日号掲載)