日本の菓子発祥の地とされる海南市で12月20日、全国でも珍しい「お菓子のはぢまり条例」が制定された。請願した「鱧の街・菓子の街海南プロジェクト実行委」お菓子グループの野田智也代表と山口知也副リーダーに条例への思いを聞いた。(文中敬称略)

海南市 条例制定のキーマンに聞く

──どんな条例ですか?

野田 海南市をお菓子発祥の地として発信し、市民に愛着を持ってもらって地域おこしにつなげるのが目的です。菓子店が独自商品の開発に努めることや、市と市民が積極的に情報発信することなどが定められています。

──海南市がお菓子の発祥の地というのは?

野田 下津町にお菓子の神様、田道間守(たぢまもり)をまつる橘本神社があり、そこの旧社地は、お菓子のルーツと言われる橘が日本で初めて植えられた場所なんです。毎年180社近い菓子業者が奉納に来るほど有名ですが、地元ではあまり知られていなくて。それで、歴史や文化をもっと伝えていこうと、菓子店の店主らで2015年にグループを結成しました。

──グループでは様々な取り組みをしています。

野田 橘がモチーフのゆるキャラを市民公募で作ったり、田道間守の物語を描いた冊子を作り、読み聞かせをしたり…。まつりも2回開きました。

──条例を考えたのは。

山口 一過性のイベントでなく、発祥の地に重みを持たせ、市民により知ってもらいたくて希望しました。地元の菓子店や飲食店28軒の賛同を得て、請願しました。

──今後はどんな街に。

野田 学校で田道間守の物語を伝える出張授業や市内で橘の植樹、企業や市の窓口にお菓子を置いたり、会議の場に取り入れて自由な発想が生まれるきっかけにしてもらったりと楽しい取り組みをします。お菓子と言えば海南と言われるほどの聖地にして、交流人口を増やしたい。

山口 菓子店をしているので、橘や海南の農産物を使って日持ちする特産品の開発に力を入れます。条例をきっかけに街全体が潤い、子どもたちが「お菓子の街から来たんやで」と誇れるふるさとになってほしいです。

写真=橘モチーフのゆるキャラと実行委ら

(ニュース和歌山/2019年1月19日更新)