新しい年を迎え、夢や目標を書き初めした人もいるのでは? 今回は和歌山市のプリンちゃんはじめ、多くの方から寄せられた「和歌山で習字教育が盛んなのはなぜ?」「競書会はいつ始まった?」を調査します。

 和歌山県内の小中学校に通っていた方なら、夏休みに練習し、2学期に行われる競書会と、3学期の書初競書会は御存知ですよね? 加えて、和歌山市では1学期に和歌山市民憲章競書会も行われます。お手本を見ながら、作品づくりに取り組んだ思い出、懐かしいんじゃないでしょうか?

 県書道資料館と県書道教育連盟に聞きました。

 


 

書道家、天石東村が普及させた

 「和歌山で習字教育が盛んなのはなぜ?」「競書会はいつ始まった?」。県書道資料館に聞くと、「書道教育者の天石東村先生が、周りの先生を巻き込み、書道教育に取り組んだから」とのことでした。

 天石(1913〜89年)は和歌山市出身の書道家です。和歌山高等女学校や桐蔭高校で書写・書道を担当。全国の小中高校で使われる書写・書道の教科書を執筆したほか、今も県内で発行されている書写書道教育のための月刊誌「書の友」「書苑」を創刊しました。

 88年発行『和書連40年のあゆみ』によると、和歌山市の小中学校と女学校で書に興味のある児童・生徒を集めて腕比べする競書会が34年に始まりました。戦争で開催できなくなりましたが、復活を目指した天石が終戦翌年の46年、小中高校の教員で構成する県書道教育研究会を立ち上げました。そして同会主催の第1回競書会が同年秋、和歌山市を中心に開かれました。さらに50年冬には書初競書会をスタートさせました。

 県書道教育連盟は「天石は子どもの書のレベルを上げると共に、指導する教員の力も育てようとした。全国に書道の大会はあるが、書写教育を元に、県下全域の小中学生が参加、教員が教育、選考するのは珍しい。和歌山独自の文化と言えるのでは」と話します。

 ちなみに、和歌山市民憲章競書会は和歌山市民憲章推進協議会主催で、67年開始です。

(ニュース和歌山/2021年1月9日更新)