根來寺を中心とした中世からの歴史あるエリアの魅力に触れてもらおうと、「根來アート散歩」と題したイベントが11月5日㊏と6日㊐に初めて開かれます。明治時代建築の旧県議会議事堂に地元ゆかりのアーティストによる作品を展示し、合わせて周辺散策も楽しんでもらう催し。実行委代表を務める根來塗師の伊藤惠さん(48、写真右)に聞きました。

テーマは再発見

─なぜこの催しを?

 「2年前に根來をブランド化する動きがありました。参加し、根來のロゴを決め、表記やカラーを統一しました。活動終了後、この時のメンバーで、和歌山市のギャラリー店主、吉田雅信さん(同左)ら5人と、もっと良さを伝える方法はないか話し合いました。そして、『根來、再発見。』をテーマに、展示と周辺をアート的な目線で散策し、町の魅力を味わってもらう催しを企画しました」

──アートでなぜ散策?

 「根來はそれ自体がアートです。地域の成り立ちは古く、かつて根來寺を中心に寺院が並び、根來塗といった伝統工芸も生まれました。これら全てが中世から現代に続くアートと言えます。展示を見た後、のどかな町を歩いて至るところに残る歴史や文化に触れ、京都や奈良にも負けない可能性があると気づいてもらえればうれしいです」

歩いて感じる

──見どころは?

漆器の朱色には植物が映える

 「メーン会場の旧県議会議事堂(一乗閣)には、岩出市ゆかりのアーティスト15人の作品を並べます。ステンドグラス、彫紙アート、陶芸、イラストレーターといった様々な作家が、それぞれの『根來』を表現します。例えば人形作家の亀井潤さんは、近くにある住持池にまつわる大蛇と姫の恋物語にもとづく創作物を見せます。日本画家の片山美穂さんは、幼いころの思い出をノスタルジックな絵画に。私は漆器と植物を組み合わせ、400年前の根來がタイムスリップした作品です。歴史的建造物とアートの相性を楽しんでください」

──散策のおすすめは? 

 「豊臣秀吉の紀州攻めで焼失した寺院の遺跡、根來寺の埋蔵文化財出土品を展示している歴史資料館、大門、根來寺の前身となった寺の一つで、覚鑁(かくばん)上人が建てた円明寺…。境内では、庭園や奥の院、国宝の大塔、重要文化財の大師堂も見どころです。周辺の施設や寺、飲食店などイチオシスポットをまとめた散策プランを準備しました。今回は1ヵ所を訪れ、別の時期に次の場所をと、少しずつ楽しむのもいいですね」

──今後は?

 「来年はアート展示を根來全体に広げたいです。ゆくゆくは海外のアーティストを呼べるくらい、秋の岩出を代表するイベントを目指します。何度も訪れたいと思ってもらえる地域にするため、終了後もSNSで周辺の映えるスポットや歴史を発信していきます」

根來アート散歩

11月5日と6日午前10時~午後5時(6日は3時)、岩出市根来の旧県議会議事堂。ワークショップはチョークアート、彫紙アート、陶芸。当日受け付けで要材料費。周辺エリアでのモデル撮影会は事前予約で先着6人。5日はアンケートに答えた先着100人に甘味のふるまいあり。詳細、申し込みは「根來アート散歩」HP

(ニュース和歌山/2022年10月15日更新)