和歌山高校野球の歴史と伝統継ぐ

 猛暑による試合開始時刻の変更や、指名打者制の正式導入など、今、高校野球は転換期を迎えている。柔軟な大会運営が求められるなか、今年5月、坂本勝則海南高等学校校長が和歌山県高等学校野球連盟会長に就任した。自身も高校球児として白球を追いかけていたという坂本会長に、高校野球への思いや大会運営などについて話を聞いた。

 

箕島に憧れ 向陽でプレー

── 野球を始めたのはいつですか?

坂本 勝則…1968年6月25日、和歌山市生まれ。県立向陽高校野球部OB。中央大学卒業後、民間企業に就職し、33歳で教員に。県教育委員会に在籍していた2015年、紀の国わかやま国体・わかやま大会の選手強化を務める。県内高校での勤務を経て25年より県立海南高校校長。県高等学校野球連盟副会長を経て、26年5月より現職。

 「小学3年生のころに少年野球チームに入ったのが原点です。当時、高校野球で全国の強豪校だった箕島高校に憧れました。校歌も覚えていたほどです」

── チーム卒団後も野球を続けられたのですか?  

「中学校では軟式野球部、高校は向陽に進学し硬式野球部に所属しました。ポジションはショートか投手を任されました」

── 紀三井寺野球場での試合の思い出は?

 「高校2年の時に出場した、シード校の笠田高校との夏の県大会1回戦です。1点をリードして迎えた最終回、1アウト満塁のピンチでショートを守る自分への鋭い打球をダブルプレーにし、勝利しました。実はその瞬間の記憶は全くないのですが、極限の緊張感が集中力を高め、想像以上のプレーを生み出すのだと後になって気づきました。野球は高校時代で完全燃焼し、それ以来、ユニフォームは着ていません」

── 現代の高校野球の印象は?  

「全体的に技術レベルが高いです。我々のころと比べて身体が大きくなり、投手の球速も上がっています。科学的な分析に基づいたトレーニングが生徒や指導者に浸透しているのが要因の一つだと思います。個人練習ではYouTubeなどの動画も参考にしているようです」

── 球児たちにどんなことを期待しますか

 「野球人である前に、まずは人として約束やルールを守る姿勢を身につけるのが大前提です。高校生ですから真面目に勉強に取り組んだ上で、野球を頑張るという意識で学校生活を送ってほしいです」

 

〝今〟一所懸命に 「前後裁断」

── ご自身の人生哲学をお教えください。

 「『前後裁断(ぜんごさいだん)』です。過去も未来も断ち切り、今できる ことを一所懸命に取り組みなさいという意味で、臨済宗の禅僧・沢庵宗彭の言葉です。一般 生徒やインターハイの壮行会で選手たちを前にいつも説いています」

── いよいよ夏の大会が始まります。

 「まず、夏の暑さに備えます。猛暑を考慮して初日から準決勝までの開催日は、第一試合が午前8時30分、第二試合は午前11時に開始予定となります。高温が予想される時間帯を避けて、第三試合は午後3時に開始します。高校球児や審判はもとより、応援する生徒や観客が熱中症にならないよう、他にも対策を講じます」

── 今年度より指名打者制が導入されました。

 「投手の代わりに打席に立つ選手を先発メンバーとして起用できるルールです。投手陣の負担を軽減できる一方で、打撃が得意な打者を抜擢するチーム編成が可能となります。今大会では選手の出場機会が増え、攻撃的な試合も多くなるかもしれません」

── 会長としての抱負をお聞かせください。

 「和歌山県の高校野球は、甲子園という舞台で幾多のドラマを生んできました。その歴史と伝統を支える連盟の会長ということで、責任の重さを感じています。現場の監督やコーチ、部長など、あらゆる方々の声に耳を傾けながら、選手たちが気持ちよく全力プレーできる環境を整え、支えていけるよう、私も一所懸命取り組んでまいります」

(ニュース和歌山/2026年7月4日更新)