連載2年余 節目の100回目

 2016年正月号でスタートした人気連載「マエオカテツヤの妖怪大図鑑」は今号で節目の100回目。ニュース和歌山はこれまで紹介した中から70を1冊にまとめ、2月24日(土)に発売します。こよなく愛する妖怪たちを愛らしく描き続ける漫画家、マエオカさんに話を聞きました。

自然との架け橋

──連載開始から2年余りで100回到達です。

 「反響が身にしみて分かる連載です。街中で全く見ず知らずの人に、『こんな妖怪もおるけど知ってる?』『不思議な話があるんやけど…』と話しかけられることがしばしば。妖怪に興味があるのは男性の方が多いんですが、女性の反応がいいのもうれしいですね。おばちゃんに『あんたの絵、怖ないでー。だから楽しみに読めるねん』と言われたこともあります」

──確かに、怖さのバロメーターが最高の「5」でも、どこか親しみが感じられます。

 「妖怪は人に寄り添うもの。『夜の海に行っては危険だよ』などアドバイスをくれたり、自然と共存する架け橋になってくれています。だから、おどろおどろしく描く必要がない。描くときは妖怪が存在した時代の風習や文化を呼び覚ますため、実は細かいところにこだわっています。例えば今回の一本だたら。一つ目、一つ足で、山の中で人を襲うんですが、雪の中で人を見つけるんだから目は大きいだろう、捕まえるために爪は鋭く、くわえたらはなさないキバ、そして味を楽しむ長い舌…。結構考えて描いてるでしょ?(笑)」

スマホ待ち受けに

──特にお気に入りは?

 「どれも楽しんで描いた絵なので難しい…。ただ、こちらの予想しなかった反響に驚かされることがあります。その代表がカシャンボ。連載を切り抜いている女の子が見せてくれたノート、表紙がカシャンボでしたし、昨年、白浜町でイラスト展を開いた際は、若い女性がスマートフォンで撮ったカシャンボを待ち受け画面にしていました」

──カシャンボを含め、どの妖怪も個性的です。

 「きょう発売の本を読めば、和歌山ゆかりの妖怪がこんなにいるんだと驚くと思う。妖怪好きの僕でも、改めて調べないと分からないものが多かったですから。今、妖怪と聞いてイメージされるのは、水木しげるさんが描いたものという人が多数でしょう。この本で、僕の絵をぱっと思い浮かべてもらえるぐらいになればうれしいなぁ」

写真=「この本を読んで妖怪たちを後世に伝え、絶滅から守ってね」とマエオカさん

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 出版を記念し、マエオカさんによる妖怪ミニトークショー&サイン会を3月4日(日)午後3時、和歌山市松江のガーデンパークで開きます。ニュース和歌山(073・433・4882)。

 

 『マエオカテツヤの和歌山妖怪大図鑑』はA5変形判、160㌻。999円。

 〈取り扱い店〉TSUTAYA WAYガーデンパーク和歌山店・和歌山高松店・海南店、WAY書店TSUTAYAオークワ本社店・岩出店ほか、和歌山県内TSUTAYA WAY各店。宮脇書店ロイネット店、宮脇書店和歌山店、イオン和歌山未来屋書店、帯伊書店、宇治書店、松木書店、太田書店、紀州屋、本屋プラグ、 県立博物館、和歌山市観光土産品センター、くまざわ書店和歌山MIO店、ブックユー、福岡書店、ブックス青天堂、荒尾成文堂、林書店、宮井平安堂貴志川店、きぬや書店。

(ニュース和歌山/2018年2月24日更新)