新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、外出自粛の動きが広がる中、インターネットでつながろうとの動きが和歌山県内でも増えている。音楽家たちはテレワーク合奏でいやしの一時を、行政関係者は健康づくりに役立つ体操を伝え、動物たちは2㍍の距離を取るソーシャルディスタンスを教えてくれる──。それぞれの〝今、できること〟。

音楽家ら15人 テレワーク合奏

 ギターにドラム、ピアノにヴァイオリン…。9種類の楽器を9人の音楽家がそれぞれ自宅で演奏し、サビからは6人のヴォーカリストが加わる。さらに、音楽に合わせて芸術家が一つの絵を仕上げる。離れた場所でも心一つに、X JAPANの『Forever Love』を奏でる──。県内を中心とした音楽家らによる動画が注目を集めている。

 発案したのは、和歌山市のサックス奏者、Nazukiさん。「音楽業界も影響が大きく、ステージに立てない日々が続いている。アーティストたち、そして外出自粛となった皆さんの心に少しでも光を照らせるよう何かできないか」。ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんや新日本フィルハーモニー交響楽団らが、離れた場所で演奏した映像をつないで動画に仕上げるテレワーク合奏に取り組んでいることから、仲間に呼びかけ、県内出身、在住者を中心に14人が賛同した。

 『Forever Love』は同市の作曲家で、この動画を制作したイケハラタカヒロさんが選んだ。「年齢問わず、皆さん知っていて、曲に深い感動が込められている。演奏者も視聴者も一体となって、この難局を乗り越えていこうと思えるバラードです」と語る。

 4月上旬、各自が自宅で収録。ライブと違い、横にいる人の呼吸を感じながら演奏できない苦労がありながらも、撮影した動画をイケハラさんが編集した。「個別の録音なので環境の補正に力を入れました。一人ひとりの息遣いをうまくエンジニアリング(音や動画などの調整)できた喜びはひとしおでした」。

 動画には、3分半の演奏時間内に絵を仕上げる同市の画家、佐竹幸さんの制作風景も盛り込んだ。佐竹さんは「一人で創作しましたが、みんなの演奏と共に一つのエネルギーでつながったらいいなぁと思いながら作りました」と振り返る。

 19日、動画サイトのユーチューブなどに投稿。Nazukiさんのツイッターは公開2日で視聴回数は5万回を超えた。見た人たちから多くの感想が寄せられており、「特にうれしかったのは、『この辛い時に素晴らしい演奏をありがとうの一言です』との言葉。気持ちが沈んでいた私たちの心が皆さんのコメントで温かくなりました」。

 そう話すNazukiさんが驚いたのは、動画を紹介する自身のツイッターへの書き込みを、X JAPANのYOSHIKIさんが「涙が出て来た。。感動」とメッセージを添えてリツイート(他者の書き込みを再投稿すること)してくれたことだ。「驚きと喜び…、参加したメンバーたちと興奮を分け合いました」とNazukiさん。

 イケハラさんは「一人ひとりアーティストをつなぎ、それを見てくださった方と共有し、リアクションしていただくことで、制作した者たちもこの状況に希望をもって生きていけると思います。コロナがいつ収束するのか先の見えない状況ですが、動画を通じて感動と結束を感じてもらえるとうれしい」と話している。

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(ニュース和歌山/2020年4月25日更新)