紀の川市 橋本智美さん初個展

 幸せの国、ブータンに留学し、伝統的な刺しゅうを学んだ紀の川市の橋本智美さん(37、写真)が初の個展を31日㊎まで、和歌山市新通の精進カフェふぉいで開いている。「仏教がモチーフで、『祈り』そのもの。カラフルな色使いや、昔から踏襲する独特の造形を知ってもらいたい」と意気込んでいる。

 同国の刺しゅうは仏教美術の一つで、仏やれんげ、ゾウなど仏教に関するものを、緑、青、ピンク、黄の絹糸で、グラデーションを付け絵画のように表現する。寺院や家の仏間に飾って祈りの対象とし、かつては男性の僧侶や職人の仕事だったが、近年は女性も携わる。

 橋本さんは2010年、仕事の息抜きにと刺しゅうを学び始めた。当初は1年かけて小さな作品を完成させる程度だったが、12年に教室の先生らとブータンを訪れた後、不思議と針が進むように。無心で手を動かすことがめい想になり、リラックスできると気づいた。これを機に手仕事にしようと、翌年からブータン国立伝統工芸学校に留学。刺しゅう・仕立て科4年コースを修了した2人目の外国人となる。

 帰国後は制作しながら、日本ブータン刺繍協会理事として国内外で講演。留学体験を通して、伝統を守る素晴らしさを伝えてきた。現在は和歌山はじめ関西での教室開講に向け準備する。

 今回出品するのは、チベット仏教の祖師を縫った122×74㌢の掛け軸ほか、龍、花の計6点。「コロナや仕事で日々、ストレスや心の疲れがある人の気持ちが和らげば」と話している。

 午前11時~午後6時半。㊋休み。

(ニュース和歌山/2020年7月4日更新)