食の授業が和歌山市内の小学校で相次いで開かれました。日本の食を支える豆腐、乾物が教材。おいしく学び、ごちそう様です。
手作り木綿豆腐に舌鼓 貴志南小3 マイスターが伝授
和歌山市中野の貴志南小学校3年生58人が2月19日と2月25日、豆腐マイスターの資格を持つナカシタトウフ(同市園部)の前田宗治専務から木綿豆腐の作り方を学んだ。
同小3年生は、国語の教科書に「すがたをかえる大豆」との単元があることから、さらに発展させた学習をと豆腐作りに取り組むことに。10年以上前から地域の小学校で指導し、一昨年秋、県内で初めて豆腐マイスターを取得した前田専務を特別講師に招いた。
2月19日は1組の29人が挑戦した。あらかじめ水に24時間ひたしておいた大豆をミキサーにかけ、こし袋に入れて絞って豆乳に。鍋に移し、こげないよう木べらで回しながら温めた後、にがりを加え、手早く混ぜると3秒ほどでかたまり始めた。これを10分間むらして木枠に入れ、重石の代わりに交替しながら手で押すこと10分。木枠を外し、店で売っているような木綿豆腐が姿を現すと、みな歓声を上げていた(写真)。
最後はお楽しみの試食。まずはそのまま、続いてしょう油をつけて食べた。岩倉藍輝くんは「しょう油をかけるより、そのままの方がおいしかった。にがりを入れると固まるところがすごかった」、中島琉成くんは「楽しかったけど、最後に押して固めるところが大変でした」。手作り豆腐と一緒に味わったのは、おからを煎(い)って作ったおから茶。垣 菜さんは「しぼった後のおからからお茶ができるのに驚いた。豆腐もいつも家で食べているのよりおいしく、頑張ったかいがありました」と笑顔を見せていた。
前田専務は「豆腐は水にさらすと少しずつうまみが出てしまうので、できたてが一番おいしい。最高のタイミングで食べ、大豆とにがりだけで作った豆腐本来の甘味を知ってもらえたら」と望んでいた。
乾物は栄養たっぷり 雑賀小3 保護者に向け発表
総合学習の授業で乾物について調べる和歌山市西浜の雑賀小学校3年3組では2月19日、子どもたちが授業参観で保護者にその魅力を伝えた。海南市のかんぶつマエストロ、野田智也さんの出前授業をきっかけに始めた学習で、担任の片峰麻美教諭は「給食で好き嫌いがあり、やはり乾物が苦手という子は少なくありません。知ることで興味を持ち、食べられるようになってゆけば」と期待している。
野田さんの授業を受けた昨年末以降、グループごとに乾物の歴史や作り方、調理法などを調べてきた。これまでポスターを手作りして校内に掲示したり、給食中に放送で栄養価を紹介したりと、乾物の良さをアピールしてきた。
参観日は、子どもたちが調べたレシピや原材料などを説明し、「乾物は栄養があるのでたくさん食べましょう」と呼びかけた。また、全校児童に乾物の食べる頻度や知っているかを聞いた結果も発表。乾物をあまり知らない低学年向けに絵本を作る構想も話した。
発表した小杉蒼真くんは「レシピを調べると、普段気付かずに食べているものに乾物があることを知りました」、山田利桜(りお)さんは「乾物は最初嫌いでしたが、勉強して食べられるようになりました」とにっこり。保護者の雑賀佳奈子さんは「体に良いと改めて知る機会になりました。レシピも紹介してくれたので、頑張って調理してみようかな」と話していた。
授業を見守った野田さんは「乾物の魅力を子どもから大人へ教えることは珍しい。若いお母さんはじめ、あまり乾物を食べなじんでいない世代にこそもっと知ってほしいと思っていた。素晴らしい取り組みです」と喜んでいた。
写真=自分たちの調べた内容を保護者に発表する児童たち
(ニュース和歌山2015年2月28日号掲載)