気軽にしゃべれる場づくり

 〝和歌山で、色んな人が福祉と向き合う機会をつくる〟をモットーに、日ごろは障害者福祉施設でソーシャルワーカーをしながら、2018年12月から「紀州fukushiイベント発信局」を主宰しています。

 イベント内容は様々。気軽に福祉をおしゃべりできる場「ダイアローグフクシin和歌山」、学生と福祉をどうつなげるかを作戦会議する「介護・福祉リクルート大作戦」、福祉の普及啓発の勉強の仕方を学ぶ「福祉の普及啓発勉強会」などです。どのイベントも人の意見を否定しないことが約束です。

 そもそもなぜこのような機会をつくろうと思ったか。それはより自由に、いろいろな人と福祉の話をし、それぞれの意見に触れたいと思ったからです。以前、食事中の友人から、「飯がまずくなるから福祉の話はやめてくれ」と言われたことがありました。福祉はだれにとっても必要なことなのに、取っつきにくい話題になっている。だからこそ福祉の話をもっと気軽におしゃべりできる文化をつくりたい。多くの人が幸せに生活し、福祉の根付いた社会をつくりたいと感じたのです。

 しかし、このようなイベントは東京、大阪や京都などに集中していて、残念ながら和歌山では開かれていませんでした。ないなら自分でつくろうと思い、和歌山でも多様な価値観に触れ、福祉と向き合える色んなイベントを18年12月から月1回のペースで開いてきました。その中でも「ダイアローグフクシ」は、最大で16人が参加するイベントに。「貴重な対話ができた」「福祉の面白さを知った」、そう言われることが私のモチベーションになり、福祉関係者だけでなく、普段、福祉とはかかわりのない人の参加も増えてきました。

 こうした対面のイベントに手ごたえを感じ始めていた矢先、新型コロナウイルスが流行し始めたのです。顔を合わせて気軽に福祉を語るイベントは瞬く間に開催の危機に陥りました。

(ニュース和歌山/2020年9月12日更新)