新国立競技場の建設費が他の開催国の約5倍、2500億円にまで膨らんでいる。「もったいない」と感じる人は少なくないだろう▼素人発想だが、もっと安価でシンプルなデザインで良いと思う。「アーチ状の屋根を建設するために、近隣の地下鉄を移動させる」「デザインを維持しつつ客席を確保する技術が難しい」など聞くにつけ、何のための競技場なのかわからなくなってくる▼デザイナーや行政担当者の顔を報道でよく見るが、利用する選手はどう感じているだろう。スポーツ施設だから、デザインより選手が高いパフォーマンスを披露できる舞台を用意することが第一ではないか▼ひるがえって今秋開かれる紀の国わかやま国体。関西大学の宮本勝浩名誉教授らの検証では、経済波及効果は810億円という。一方、県が投じた施設整備費や運営費の見込みを合わせると328億円。数字ばかりに目がいきがちだが、トップレベルの技を間近に見られる貴重な機会として、純粋にスポーツ観戦を楽しみたい。(林)

(ニュース和歌山2015年7月18日号掲載)