20161022_mc 和歌山のまちの未来を考える講演会「変わるまちなか」が10月16日、和歌山市西高松の県立図書館で開かれ、市民約60人が耳を傾けました。南海和歌山市駅ビル建て替え、伏虎中学校跡地活用問題とまちの姿が変わろうとする今、歴史を振り返り、現状を知ろうと、本紙、和歌山大学、県立図書館が共催しました。

 講師は和大経済学部長の足立基浩教授、観光学部の永瀬節治准教授。永瀬准教授は市駅前通りを歩行者天国にした社会実験を語り、「まちは従来の『つくる』だけでなく『育てる』時代。施設や拠点をどう生かし、地域を再生させるかのビジョンを持つべき」と話しました(写真)。

 足立教授はまちづくりの視点として、哲学の「間主観性」という考え方を紹介。市街地に農園を設けた宮崎県日南市などの事例を交え、「今あるものを違う角度から見て発想の転換が起き、それが共有されることがまちの未来に対する新しい価値観の創造につながる」と語りました。

 参加した腹巻紀子さんは「住民と学生の接点が少ないのが問題。共に取り組んでゆけば活性化につながる」、三浦佳穂さんは「まちづくりを仕掛ける人だけでなく住民も参加し新しい文化をつくることが大切だと思いました」と話していました。

 また、拡大印刷した過去の本紙を8日から同館2階で展示。現在の市駅ビル建設時の様子や丸正百貨店倒産など、駅ビルと市街地の歴史をたどる記事を並べました。同市の内畑雅年さんは「普段の暮らしではこういう記録にふれることはない。まちの歴史を知る機会になった」、明石和也さんは「右肩上がりの時代から現在へと、まちの姿を表している。次のパネルがどうなるか、自分たちがつくっていくのだと思う」と見入っていました。

(ニュース和歌山2016年10月22日号掲載)