暑さが厳しい夏がやってきました。この季節におすすめしたい夜のスポットがあります。魚介類の直接販売、通称「直売」が実施されている和歌山市の雑賀崎漁港です。

 停泊する漁船の前に20軒ほどの露店が並び、その日獲れた新鮮な魚介類を、漁師さんが自由に値付けして販売します。5月中旬から10月半ばまでは午後7〜8時台、他は午後3時ごろから1時間ほど開催します。お休みは火・土、祝日の前日、天候の悪い日。開催の有無や時間は、雑賀崎漁業協同組合のサイトにリンクしているツイッターで告知されます。

 この直売は10年以上前から行われています。少子高齢化による担い手不足により競りがなくなったのを受け、漁師さんが直に販売する現在のスタイルが生まれたといいます。新鮮でおいしい魚介類が安く購入できるため、県外からわざわざ訪れる人や、食材の買い付けに来る料理人も多くいます。県民でも、意外と知らない人がいるかもしれません。

 雑賀崎名物の足赤えびが登場する冬〜春の時期もいいですが、どこか夏祭りを思い出させる今の時期が私は好きです。通年開催されているので、あまり混雑しないこともうれしいポイント。6月初旬に訪れた際は、甘えびがちらほら混じった芝えびの山が「小エビ1000円」の値札で売られ、新鮮なハゲやウマヅラハギ(すごい名前!)も5匹500円ほどで販売されていました。他にも、立派な鯛や太刀魚、子持ちのシャコなどが驚きの価格でした。

 鮮度や安さも魅力ですが、何より楽しいのは、漁師の妻である雑賀崎のお母さんたちと会話し、さばき方、調理や保存方法など熟練の知識を教わりながら購入できること。会話が弾んで思わず買い過ぎてしまうのは、“直売あるある”ですね。私のようなさばくのが苦手な人に「小エビはゆでても、かき揚げにしてもおいしいよ」とお母さん。どちらもビールとの相性ばっちりです!

フリー編集者 前田有佳利(第3土曜担当)

(ニュース和歌山/2021年6月19日更新)