堅苦しい社会経済の問題から外れて、今回は県公表の「指標からみた和歌山県のすがた」から、県や市町村のすがたを想像してみましょう。

 和歌山県民は、仕事、勉強に充てる時間は全国最下位層にありますが、自由な時間は全国平均より多く、その中でも、趣味、娯楽の時間が長く、のんびりと暮らす県民性が見えます。しかし、スポーツに充てる時間は短く、また、厚生労働省の2016年国民健康・栄養調査報告では、県民の1日の歩行数は男性44位、女性40位となっています。この要因もあり、人口10万人当たりの心疾患による死亡率が全国平均の約1・5倍あり、注意が必要です。

 住居環境では、下水道や汚水処理普及率が低いですが、環境省の水質汚濁に係る環境基準を満たしていない県内河川は19年度時点で和歌山市の大門川のみで、自然の自浄能力に恵まれています。その大門川も昨年11月から、紀の川の自然の力を借りて浄化を図っています。

 持ち家比率は全国8位と高いですが、人口減少にもかかわらず世帯数の増加が進み、一人暮らしの老人世帯数は全国3位です。

 生活面では、1世帯当たりの年収は決して高くありませんが、消費を抑え、貯蓄が多く、借金が少ない、堅実な県民性が見えます。

 人口当たりのコンビニエンスストアは44位と少ないが、小売業が4位と非常に多く、小売業を核とした、昔ながらのコミュニティーが数多く残り、老後に一人でも暮らせる和歌山が垣間見えます。

 このような自然とコミュニティーを「不易」として、「現実社会と情報技術が結びつく新しい社会」の流行にのり、都会の若者を呼び込みたいですね。

和歌山社会経済研究所研究委員 中西 望(第4土曜担当)

(ニュース和歌山/2021年7月24日更新)