先日、山陽地方の新聞で気になる記事を目にしました。「岡山県で○○栽培が拡大」。〇〇には和歌山県が全国一の産品が入ります。

 和歌山には全国ナンバー1を誇るものがたくさんあります。「パンダ飼育頭数日本一」「麻雀パイ生産日本一」はご愛きょう。一番は農産品です。ミカン、ウメ、カキ、そして、〇〇に入る「山椒」。有田川町や紀美野町など紀北に産地があり、全国6割のシェアを誇ります。これに岡山県が目を付け、栽培に力を入れつつあるというのです。以前なら気にも留めなかった記事ですが、和歌山に移住した身としてこれは見過ごせません。

 「SANSHO」は、「YUZU」「WASABI」「MACCHA」とともに、今、世界から熱い視線が注がれています。粒が大きいぶどう山椒はミカン科で、きれいな緑色と豊かな香りが特徴です。海外では「ジャパニーズペッパー」と呼ばれ、フランス料理やイタリア料理に合わせやすく、チーズ、チョコレート、ジェラートなどデザートと相性抜群、多彩なマッチングが可能です。国内ではうなぎやちりめんじゃこに用いるとの固定観念が強い一方、スパイス文化のヨーロッパでは新鮮で魅力的だと受け入れられています。

 何を隠そう私、紀美野町での地域おこし協力隊時代に山椒のエッセンシャルオイル(精油)製造をもくろんだことがあります。他のミカン科の精油と比べ、さわやかで切れ味抜群の香りが「かんきつ系を超えるスーパーシトラス」と呼ばれることから、健康・美容面での需要が高まる現代、「和のアロマオイル」として産地発の製造・販売を考えました。残念ながら、県内大手の酒造会社に先を越されてしまいましたが(笑)。

 高齢者でも比較的取り組みやすくて、鳥獣害が少なく、耕作放棄地対策として有効な山椒栽培ですが、県内では栽培面積も全国シェアも年々減っています。そのため、近年のシビ辛(しびれる辛さ)ブームで多方面での需要が見込まれるにもかかわらず、供給に追いついていない現状もあります。そんな和歌山を尻目に、岡山は2年前、生産者組織を立ち上げ、増産に本腰を入れ、数年後には食品メーカーに数十トン規模での供給を目指しているとか…。これはうかうかしていられません。

和歌山大学・地域連携専門職員 増山雄大(第1週担当)

(ニュース和歌山/2022年12月3日更新)