あしひきの 山の木末の ほよ取りて 挿頭しつらくは 千年寿くとそ 大伴家持

 冬になると、葉を落とした木の梢(こずえ)にボールのようにまん丸なものがいくつも見つかることがあります。「あれはなんだろう」と不思議に思われた方も多いのではないでしょうか。あの丸い物は「ヤドリギ」という木なのです。普通、草木は土に生えますが、ヤドリギはほかの木の幹に生える特徴があります。

 ヤドリギの生活史には興味深いものがあります。まずこの季節になると、ヤドリギに丸く小さな黄色い実ができます。この実はとても粘り気があり、レンジャクという野鳥の大好物です。実をついばんだレンジャクは消化できなかった種子の入ったネバネバのフンをします。これがほかの木の幹にくっつき、やがてその種子は発芽し、幹の中に根をおろします。

 ヤドリギはエノキに生えることが多く、紀伊風土記の丘、大池北側の安藤塚のエノキにたくさん生えています。ほかに、修復古墳北側の大きなポプラにもあります。

 万葉集の時代、ヤドリギは「ほよ」と呼ばれていたそうです。大伴家持のこんな歌があります。

 「あしひきの 山の木末の ほよ取りて 挿頭しつらくは 千年寿くとそ」

 山の木に生えるヤドリギを取って髪に挿すのは、長寿を願ってのことなのですよ、というような意味でしょうか。

 ヤドリギにはもう少し寒くなると黄色の花が咲きます。髪に挿したのは、実なのか花なのか、それとも葉なのか…。また、どのようにして高い所に生えるヤドリギを採ったのか…。そんなことを想像してみるのも楽しいですね。(和歌山県立紀伊風土記の丘非常勤職員、松下太)

(ニュース和歌山/2020年1月18日更新)